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2015年04月08日 (水) | 編集 |
「モー子さんの心配」
最近あの娘の様子がおかしい。
以前からあの娘は他人とは違った感覚の持ち主で、変わっているとは思っていたけれど、ここ最近は特にそれが顕著で……とにかく挙動不審なのだ。
変にボーっとしていたり、かと思えば何か一心不乱に作業していたり。思い詰めているような顔をしている時もある。顔を真っ赤にしていた時もあった。
何かあった?って聞いても『何もないわ』としか言わない。
社長のミッションがそんなに大変だったのかしら?
まあ私のもそれなりに大変だけれど。
でも本当におかしい。
あの娘が私にしたみたいに尾行でもしようかしら?そう思って尾行したけれどすぐバレて、
「私がモー子さんに気付かない訳ないでしょう!」
と、なぜか自信満々に言われてしまった。
そう言えば秘密のバイトの時も全部バレてたのよねー……。私変装ヘタなのかしら?いえ…まさかそんな訳ないか……家族でも外で会った時わからなかったから……うん、そんなことないわよね。やっぱりあの娘が特殊なのよね。何者なのかしら、あの娘。
……と、本題からそれたわ。
とにかくあの娘をもう少し観察しないといけないわね。
そう思って私は前より頻繁にあの娘、キョーコに会うことにした。
「やっぱり何かあったんでしょ!」
お互い仕事と社長のミッションで忙しい中、あの手この手で誘い出し探りを入れてみて、私はそう結論付けた。なのにキョーコは『なんのこと?』と素知らぬ顔だ。
「あんた、何か私に隠してることがあるでしょ!」
相変わらずキョーコは黙っている。
「あんたは私の相棒でしょ!!何かあったんなら相談してくれてもいいじゃない!それとも……それとも…あんたにとって親友ってそんなものなの!?」
多少芝居臭くなったけれど、かなり本気で問い詰めた。『親友』という言葉に流石にキョーコはピクリと反応したけれど、口を開こうととして、また閉ざしてしまった。
仕方ないわね。自分から話して欲しかったのに。
「聞いたわよ!社長のミッションで敦賀さんと兄妹になって一緒に寝泊まりしてるって!!」
「ふぇっ……!な、なんでそれを……!?」
「あんたの様子が変だから社さんに聞いたのよ!極秘ミッションだからってかなり渋ってたけどあんたの様子がおかしいって言ったら教えてくれたわ」
「わ、私……そんなに変だった?」
明らかに動揺しているキョーコに私は内心にんまりほくそ笑んだ。やっぱり悩んでたのはそのことに関係してた訳ね。
「そうよ!あんた、まさか敦賀さんに手出されたんじゃないでしょうね?」
「なっ……!そ、そんなことある訳ないじゃない。モ、モー子さんたら何言ってるの!」
真っ赤になって否定したけど、顔が強ばってるし目が泳いでいる。
明らかに何かあったんだわ。
「ねえ……、敦賀さんに何されたの?」
「……も、も、ももう!モー子さんったら、敦賀さんが私ごときに何かするなんて、あ、あり得ないわよ!」
そう否定しながらもキョーコの顔は益々赤くなっていく。ただ『敦賀さん』と言う度顔が一瞬曇るような気がした。
何かあったのは明白なのにこの感じは微妙な雰囲気だ。もし何かされて上手くいったのなら思い悩む必要はない。ラブミー部も卒業出来るし正直羨ましい限りだ。
でもそういう感じでもない。でも何もされてない感じでもない。絶対に何らかの進展があったはず。
でもこの様子じゃあ……。
強情なこの娘のこと。絶対口を割らないわね。
その後も私が口を開こうとするとキョーコはその度に目を逸らした。
だいたい敦賀さんも敦賀さんね。好きな女と四六時中、しかもホテルにいて手を出さないなんて男じゃないわ!でも……この娘のことだしなんか墓穴掘った?それでされちゃった……?まさかほんとに……いや……でもキョーコのあの反応だとまだデキてる訳じゃ……じゃあ、告白もせず、同意も得ず手を付けたってこと!?
最後までされてない雰囲気だけど……。でもこの感じ……。
純情なこの娘にどこまでしたのよ、敦賀さん!
まあ、もやもや私が悩んだって仕方ないんだけど。でもキョーコが泣くのは見たくない。あの敦賀さんが好きな女を泣かすはずはないとわかっているけれど、変な空想癖というか妄想癖があるこの娘のこと、自分で勝手に悲観的な妄想やら曲解やらして落ち込んだりしてるんじゃないかしら……。
予感が的中したのか、それからしばらくして、キョーコから留守電メッセージが入っていた。
『モー子さん……どうしよう……わたし…どうしたらいいの……?』
切羽詰まった、今にも泣き出してしまいそうな声だった。
運悪く携帯の繋がらない山奥に地方ロケに来ていたところだったから、私がそのメッセージを聞いたのは結局伝言が入って2日後のことだ。
慌てて電話をかけてみたけれど今度は向こうが留守電になっている。
何かあったのかしら……?
心配になってそれから何度かかけてみたけれど一向に繋がらない。というかすれ違いばかりだった。キョーコがかけてくる時には私が取れず、私がかけた時には取れない。
ただ私が残した『何かあったの?夜中でもいいからかけてきて』のメッセージに、『もう大丈夫。心配かけてごめんね、モー子さん』と返してきたからきっともう吹っ切れたのだろう。晴れやかで落ち着いた声に、私は少し安堵した。
けど……!
けど……けどね!
何があったか教えなさいよー、キョーコ!!
散々人をヤキモキさせて、この私を振り回してくれたくせに、今だに何にも言ってこないなんて、どういうことなのよー!!
ドラマの収録と進級試験などが重なり、しばらく会えずにいたら春が来た。何にも言わずにグアムに行ってしまったキョーコに、私は一人モヤモヤして心の中で文句を言った。
まあ、帰ってきたら盛大に締めてやる。
覚悟してなさいよ、キョーコ!!
<後書き>
正直ヒール兄妹のミッション中は忙しくてモー子さんに会っている時間なんてなかったんじゃないかなあと思いつつ書いてみました。モー子さんもキョーコの気持ちがこんなに進展してるなんて思ってないだろうなあ…でも好意には絶対気付いているはず。本誌の展開の緩急についていけません(笑)。
最近あの娘の様子がおかしい。
以前からあの娘は他人とは違った感覚の持ち主で、変わっているとは思っていたけれど、ここ最近は特にそれが顕著で……とにかく挙動不審なのだ。
変にボーっとしていたり、かと思えば何か一心不乱に作業していたり。思い詰めているような顔をしている時もある。顔を真っ赤にしていた時もあった。
何かあった?って聞いても『何もないわ』としか言わない。
社長のミッションがそんなに大変だったのかしら?
まあ私のもそれなりに大変だけれど。
でも本当におかしい。
あの娘が私にしたみたいに尾行でもしようかしら?そう思って尾行したけれどすぐバレて、
「私がモー子さんに気付かない訳ないでしょう!」
と、なぜか自信満々に言われてしまった。
そう言えば秘密のバイトの時も全部バレてたのよねー……。私変装ヘタなのかしら?いえ…まさかそんな訳ないか……家族でも外で会った時わからなかったから……うん、そんなことないわよね。やっぱりあの娘が特殊なのよね。何者なのかしら、あの娘。
……と、本題からそれたわ。
とにかくあの娘をもう少し観察しないといけないわね。
そう思って私は前より頻繁にあの娘、キョーコに会うことにした。
「やっぱり何かあったんでしょ!」
お互い仕事と社長のミッションで忙しい中、あの手この手で誘い出し探りを入れてみて、私はそう結論付けた。なのにキョーコは『なんのこと?』と素知らぬ顔だ。
「あんた、何か私に隠してることがあるでしょ!」
相変わらずキョーコは黙っている。
「あんたは私の相棒でしょ!!何かあったんなら相談してくれてもいいじゃない!それとも……それとも…あんたにとって親友ってそんなものなの!?」
多少芝居臭くなったけれど、かなり本気で問い詰めた。『親友』という言葉に流石にキョーコはピクリと反応したけれど、口を開こうととして、また閉ざしてしまった。
仕方ないわね。自分から話して欲しかったのに。
「聞いたわよ!社長のミッションで敦賀さんと兄妹になって一緒に寝泊まりしてるって!!」
「ふぇっ……!な、なんでそれを……!?」
「あんたの様子が変だから社さんに聞いたのよ!極秘ミッションだからってかなり渋ってたけどあんたの様子がおかしいって言ったら教えてくれたわ」
「わ、私……そんなに変だった?」
明らかに動揺しているキョーコに私は内心にんまりほくそ笑んだ。やっぱり悩んでたのはそのことに関係してた訳ね。
「そうよ!あんた、まさか敦賀さんに手出されたんじゃないでしょうね?」
「なっ……!そ、そんなことある訳ないじゃない。モ、モー子さんたら何言ってるの!」
真っ赤になって否定したけど、顔が強ばってるし目が泳いでいる。
明らかに何かあったんだわ。
「ねえ……、敦賀さんに何されたの?」
「……も、も、ももう!モー子さんったら、敦賀さんが私ごときに何かするなんて、あ、あり得ないわよ!」
そう否定しながらもキョーコの顔は益々赤くなっていく。ただ『敦賀さん』と言う度顔が一瞬曇るような気がした。
何かあったのは明白なのにこの感じは微妙な雰囲気だ。もし何かされて上手くいったのなら思い悩む必要はない。ラブミー部も卒業出来るし正直羨ましい限りだ。
でもそういう感じでもない。でも何もされてない感じでもない。絶対に何らかの進展があったはず。
でもこの様子じゃあ……。
強情なこの娘のこと。絶対口を割らないわね。
その後も私が口を開こうとするとキョーコはその度に目を逸らした。
だいたい敦賀さんも敦賀さんね。好きな女と四六時中、しかもホテルにいて手を出さないなんて男じゃないわ!でも……この娘のことだしなんか墓穴掘った?それでされちゃった……?まさかほんとに……いや……でもキョーコのあの反応だとまだデキてる訳じゃ……じゃあ、告白もせず、同意も得ず手を付けたってこと!?
最後までされてない雰囲気だけど……。でもこの感じ……。
純情なこの娘にどこまでしたのよ、敦賀さん!
まあ、もやもや私が悩んだって仕方ないんだけど。でもキョーコが泣くのは見たくない。あの敦賀さんが好きな女を泣かすはずはないとわかっているけれど、変な空想癖というか妄想癖があるこの娘のこと、自分で勝手に悲観的な妄想やら曲解やらして落ち込んだりしてるんじゃないかしら……。
予感が的中したのか、それからしばらくして、キョーコから留守電メッセージが入っていた。
『モー子さん……どうしよう……わたし…どうしたらいいの……?』
切羽詰まった、今にも泣き出してしまいそうな声だった。
運悪く携帯の繋がらない山奥に地方ロケに来ていたところだったから、私がそのメッセージを聞いたのは結局伝言が入って2日後のことだ。
慌てて電話をかけてみたけれど今度は向こうが留守電になっている。
何かあったのかしら……?
心配になってそれから何度かかけてみたけれど一向に繋がらない。というかすれ違いばかりだった。キョーコがかけてくる時には私が取れず、私がかけた時には取れない。
ただ私が残した『何かあったの?夜中でもいいからかけてきて』のメッセージに、『もう大丈夫。心配かけてごめんね、モー子さん』と返してきたからきっともう吹っ切れたのだろう。晴れやかで落ち着いた声に、私は少し安堵した。
けど……!
けど……けどね!
何があったか教えなさいよー、キョーコ!!
散々人をヤキモキさせて、この私を振り回してくれたくせに、今だに何にも言ってこないなんて、どういうことなのよー!!
ドラマの収録と進級試験などが重なり、しばらく会えずにいたら春が来た。何にも言わずにグアムに行ってしまったキョーコに、私は一人モヤモヤして心の中で文句を言った。
まあ、帰ってきたら盛大に締めてやる。
覚悟してなさいよ、キョーコ!!
<後書き>
正直ヒール兄妹のミッション中は忙しくてモー子さんに会っている時間なんてなかったんじゃないかなあと思いつつ書いてみました。モー子さんもキョーコの気持ちがこんなに進展してるなんて思ってないだろうなあ…でも好意には絶対気付いているはず。本誌の展開の緩急についていけません(笑)。
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