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☆「それはホントに夢かしら?尚Ver」
2015年05月26日 (火) | 編集 |
「それはホントに夢かしら?尚Ver」





青天の霹靂という言葉がこれほど的を得ている言葉だとは。

それほど衝撃を受けた。俺はあんぐりと口を大きく開けたまま、その場に立ち竦むことしか出来なかった。

目の前にいる女は間違いなくキョーコであるはずなのに、俺の知っているキョーコとは全く違う。どう見ても同じ人間とは思えない。

これはよく言うパラレルの世界で、俺が普段いる世界とは違う次元の世界に迷い込んでしまっただけだ。そうだ。そうとしか考えられない。

硬直したまま動かない俺の足にちび達が纏わりつく。それを引き剥がすことも出来ず、ただ目の前にいる違う次元のキョーコを見つめることしか出来ない。

「ほんと、どうしたの?なんか今日変よ?」

心配そうな顔をして立ち上がって近付いてくる別物キョーコ。

「熱でもあるの?」

俺の額に手をあてる紛い物キョーコ。

「熱はないみたいね、よかった」

そう言って安心したように笑う偽物キョーコ。

本物のキョーコならこんな風に俺を心配し、こんな風に笑ってくれることなんてない。いや、もうあり得ない。

昔のキョーコなら……。

今更後悔してもしょうがない。

でもこの世界でならやり直せるかもしれない。

そう思ってキョーコの頬に手をかけた。

「ショータロー……?何なの…?」

キスしようと顎を持ち上げたところで足の甲に衝撃を感じた。足元を見れば、纏わりついていたちび達が思いきり俺の足を踏んでいる。

「ショーおじちゃん、めっ!ママにさわっちゃダメ!」

「そうよ!いいつけてやるんだから!」

小さいナイト達が口々に足元で騒ぎ出す。もちろん俺の足を踏んだまま。痛みに悶えていると赤ん坊の泣き声がしてきた。

泣きたいのは俺の方なんだよ!なんでもいいから早く俺を元の世界に戻してくれ!どうでもいいからこのガキどももなんとかしてくれ!

俺を助けろよ、キョーコ!!




それは偶々だった。

テレビ局の廊下を歩いていると“京子様”と書かれた楽屋のプレートを偶然見つけたのだ。

立ち止まってキョロリと辺りを見回し、誰もいないのを確認すると、俺は楽屋の扉に耳を押し当てた。中からは予想通りキョーコの声が聞こえてくる。どうやら携帯で話しているらしいが構うことはない。俺は勢いよく扉を開け、意気揚々と中へ足を踏み入れた。

そこにいるのは…………キョーコ……?キョーコだよ……な?

…………ん?

心なしかいつもより大人びて見える。淡いピンクの落ち着いたデザインのワンピースのせいか大人っぽい。メイクもそれに合わせているのか、大人っぽくもナチュラルで優しい雰囲気だ。それより何よりいつもよりかなり美人に……いやいやこいつは妖怪七変化『魂ススリ』。また化けてやがるだけだ。

けど胸が大きくなってないか……?尻も丸みを帯びて見える。体型まで違うような気がするのは……いや、気のせいだろう。

「ちょっと!ノックぐらいしなさいよ!あいかわらず失礼ね!」

そう言って憎まれ口を叩くのはやっぱりいつものキョーコだ。

「なんだよ!せっかくこの俺様が挨拶に来てやったのにその態度はよ!忙しい中来てやったんだからありがたく思えよな!」

「ほんっとに何様のつもり!?いつまでも子供なんだから。だいたい、授乳中だったらどうするつもりだったのよ、バカショー」

「バカショー言うなっ……て授乳?は?お前何言ってんだ?」

「授乳もわかんないの?あんたそんなにバカだったの?」

呆れた、と言わんばかりのキョーコの顔をじっと見ていると、不意に膝をかくんと折られた。

誰だよ、この俺様に膝かっくんなんてしやがるやつは!と振り向けば誰もいな……くはなかった。足元にはニコニコと笑うちびちびしたやつらが二人いた。どうやら膝かっくんではなく膝に体当たりされたらしい。俺の膝に巻き付いている。

なんだよこのちび達は……。

子役が紛れ込んだのか?親はどうした?

「わーい、ショーおじちゃんだあ!!ショーおじちゃんもきょうここでおしごと?」

「バカね、ひすい。おしごといがいでテレビきょくにくるはずないじゃない。ね、ショーおじさん?」

ニコニコと純粋無垢な瞳で見つめてくる幼児と、小さい癖に小悪魔な雰囲気を覗かせる幼女がにっこりと俺に微笑みかける。

なんだ、こいつら……?

…って、ちょっと待て、ショーおじさん?なんだそれ?誰がおじさんだってーーーっ!!!

「翡翠、瑠璃。お帰り。ちゃんと元の場所に返してこれた?」

呆気にとられた俺を無視して、キョーコがちび達に声をかける。

「うん、だいじょうぶ」

「もちろんよ!」

「ならいいわ。偉い偉い」

にこりとキョーコが微笑むと、二人の子供は嬉しそうに駆け寄っていった。

「だ、誰だよ、そいつら……?」

「は?あんた何言ってんの?瑠璃と翡翠に決まってるじゃない。この前あったばかりでしょ?」

ボケたの?と失礼なことをほざきやがったキョーコは、二人の子供の頭を撫でながら、そいつらの体を反転させる。

「ほら、瑠璃、翡翠。ちゃんとショーおじさんに挨拶しなさい」

「おはようございます、ショーおじさん」

「おはようごじゃいましゅ、ショーおじちゃん」

ペコリと頭を下げる二人に、何がなんだかわからないまま俺もとりあえず挨拶を返した。が、益々訳がわからない。

この前あった?何言ってやがんだ、こいつ……。

しかしやたら親しげだな……このちび達。キョーコの知り合いか?

「ボケっと突っ立ってないで用事があるなら早く言ってくれない?これから撮影なんだから」

「ぼくたちとあそびにきてくれたんだよ、ね、ショーおじちゃん!」

翡翠と呼ばれた幼児がニコニコと純真な笑顔で俺に同意を求める。まるで俺にべったりだった昔のキョーコのような表情で。だけど顔の造りはどれもキョーコとは似ていない。それなのにどこかキョーコを彷彿とさせるのは、そのあどけない表情のせいだろうか。

「そんなわけないでしょ、ひすい。ねえ、ショーおじさん、ママのおへやになにかようじ?」

今度は瑠璃と呼ばれた幼女が俺を挑発的に見つめてくる。まるでキョーコがやった“ナツ”みたいだ。肩までの黒髪を二つのリボンで結んだ姿はキョーコの小さい頃にそっくりだが、まかり間違ってもあの頃のキョーコが浮かべない表情をする。顔の造りはそっくりなのに……。

しかも今ママとか言わなかったか?

なぜだが胸がざわざわする。嫌な予感が確信へと変わるのにそう時間はかからなかった。

「ねえ、ママ?きょうショーおじちゃんへんだね。どうしたのかなあ?」

「ママよりショーおじさんにきいたらいいじゃない。ショーおじさん、なんかへんなモノでもたべたの?」

ママ?やっぱりママ?って言ったよな?

誰が?誰の?

硬直したままの俺にちび達が纏わりつき、キョーコが心配そうに見つめる。近付いてきたキョーコの頬に触れ、顎を持ち上げてキスしようとしたところでちび達の妨害を受けた。足を踏まれると言う実害と、赤ん坊による泣き声と言う騒音によって。

キョーコで隠れていて見えなかったが、キョーコの後ろにはベビーカーが置いてあり、そこには赤ん坊が寝かされていたようだ。堰を切ったように激しく泣く赤ん坊を抱き上げ、キョーコは慣れた様子であやし始めた。俺が見たことのない、母親の顔をして。

本当は聞きたくないが、可能性を信じ、恐る恐るキョーコに尋ねた。

「キョーコ……こいつらまさかお前の子な訳ないよな……」

「はあ?今更何言ってるの?」

当たり前でしょ、違うに決まってるじゃない、と言う言葉が続くことを期待していた。けれど……。

「頭でも打って記憶飛んだ?私の子に決まってるでしょ?あんた、お祝いくれたの覚えてないの?翡翠の時なんて産まれたその日に来て号泣したじゃない」

「わたし、おぼえてるわ。ショーおじさんすっごくないてて、ひすいのふくびしょびしょにしてた。あとできたパパがものすっごくいやなかおしてたよね!」

くすくすと瑠璃が笑う。

パパ……と言う言葉にズキズキと胸が痛む。

「琥珀が産まれた時だってやけに早かったわよね……」

「パパおこってたよね!またさきにだっこされたって!」

「うん!すっごくおこってた。パパはロケだったからなかなかこれなかったのにって。でもあのあと、びょういんでママにチューチューしすぎて、ママにおへやおいだされちゃったけどね」

「あれはパパが悪いのよ。いつまでも子供みたいに嫉妬するから」

「しかたないよ、パパはママがだいすきなんだから」

「そうよ。パパはママがいないとダメなんだから、ちゃんとチューしてあげないと……」

茫然と立ち竦んだままの俺を放置して、三人は話を続ける。

パパ?パパって一体誰だ?誰がこいつらの父親なんだ?誰がキョーコを孕ませやがったんだ?

その答えはすぐに出た。

「やあ、不破くん。また子守りにでも着てくれたのかな?」

俺の背後からキラキラとした鬱陶しい光と爽やかな声が降ってきた。爽やか……そう爽やかを装った不機嫌な声だ。聞き覚えのあるこの声は間違いない。振り返るまでもわかる。

ヤツだ。

ゆったりとした動作で俺の横を通り過ぎ、キョーコの前に立つと、自然な動作でキョーコを引き寄せ額にチュッと口付けた。ヤツが現れたとたん、俺の足元にいたちび達が嬉しそうにヤツに引っ付きにいった。

「パパ!おしごとどうしたの?なんでママのおへやにきたの?」

「パパ、さみしくてきちゃったの?」

騒ぎながら二人が飛び付くと、ヤツはそれを難なく受け止め、一人を肩車、一人を片腕に抱えた。子供相手にもキラキラしたオーラを垂れ流し続けている。

「さっきママと電話してたんだけどね。なんか途中で切れちゃったから、心配でいてもたってもいられなくて。ちょうど休憩中だったから抜けてきちゃったんだよ」

ニコニコと笑顔を浮かべ答えたヤツの言葉に、キョーコは慌てて携帯を見る。そしてしまった、という表情を浮かべた。

どうやら俺が楽屋に入った時に慌てたのか、間違えて電源ボタンを長押ししてしまったらしい。

「ところでキョーコ、大丈夫?なんかさっき琥珀の泣き声が聞こえたけど……」

「大丈夫よ。もう泣き止んだから」

そういえば、さっきあれほど激しく泣いていた赤ん坊が、いつの間にか泣き止んでキョーコの腕の中で眠っている。キョーコは愛おしそうにそれを見つめ、ヤツに見せた。

「ほんとだ。よく寝てる」

ヤツはキョーコから赤ん坊を受け取り、額にキスをしてベビーカーに戻した。そして振り返り、俺に向かってにこりと笑う。

「さて、不破くん?どうして君がここにいるのかな?子守りは嬉しいけど今日は必要ないんだけど」

キラキラした笑顔で俺を訊問してきた。この強烈な光には嫌ってほど覚えがある。正直もう逃げたい。なのに俺の足は何故か動かなかった。

「きいて、パパ!」

「どうしたの、瑠璃?」

「あのね!さっきショーおじさん、ママにチューしようとしたの!!」

「ちょっ、瑠璃!違うわよ!!ね?そうよね、ショータロー!!」

真っ青になったキョーコが慌てて否定し、俺の同意を必死な顔で求めてきたが、それが余計ヤツの機嫌を損ねることになった。

「へえぇ~。そうなんだあ。それで?まさかされてないよね?」

「うん!ちゃんとわたしたちがとめたから!」

「そうだよ!ぼくたちショーおじちゃんがママのおかおにさわったから、ダメってしたよ」

偉いでしょ、と得意気な顔でヤツに報告するちび達に、俺は殺意を覚えた。

案の定、ヤツの笑みは深くなり、漂う冷気が更に冷たさを増した。キョーコも心なしか怯えている。

「不破くん?まだキョーコのこと諦めてないの?」

「そっ、そんな訳ねえだろ!!だいたいこの俺がキョーコにキスなんてしようとする訳ねえよ!!」

「……だよね。安心した。あ、それと子守りは暫くいらないからね。琥珀はまだ小さいし、また四人目が欲しくなったら頼むよ。その時は三日間くらい頼もうかな?」

クスクスと黒い笑顔を浮かべ、何やら不穏な言葉を漏らしたヤツは、悪魔にしか見えなかった。いや、そんな可愛い物じゃない。あれは魔王だ。地獄を統べる大魔王。


その後、俺はすごすごとキョーコの楽屋を出でいくしかなかった。出ていく直前に目に入ったのはキョーコの唇をヤツがペロリと舐めているところだった。ドアを閉めた後でかすかに聞こえたのはくぐもったキョーコの声。

ヤツ――敦賀蓮がよりにもよってキョーコの相手とは。別次元とはいえ許せん!

キョーコ!絶体俺が奪い返してやるからなあ!!




「見てろよ、敦賀蓮!!」

拳を突き上げ叫んだところで目が覚めた。正確にはガツンと音がして、手に強烈な痛みが走り、意識が覚醒した。

「いってえぇぇ!!」

どうやらベッドヘッドに思いきり打ち付けたらしい。指が赤くなっている。痛む箇所を擦っていると、ドアをノックされた。

「尚?大丈夫?なんか凄い音したけど」

祥子さんが心配して入ってくる。

「な、何でもねえ。ちょっと寝惚けて打っただけ」

「そう……ならいいけど。昨日遅かったんだからまだ寝てていいわよ」

そうだ。俺は寝てたんだ。やっぱりあれは夢だ。夢。

あんなのはたとえ次元が違っても有り得ねえ。

キョーコとあの野郎が結婚して子供までいるなんて。

あれは夢だ。ただの夢。絶体予知夢なんかじゃねえ。

何故かちび達に踏まれた足の甲が痛い気がするが気のせいだ。

俺は祥子さんが出ていった後、寝ることもせず、そうやってひたすら自分に言い聞かせていた。





<後書き>
わちゃ様のバースデーリクエスト。またまた夢シリーズでショタ吉バージョン。ショタ吉バージョン、実はネタ考えるのは苦労したのに書き始めたら楽しくなっちゃって長くなりました(笑)。そして途中で本題を忘れそうになって話をぶったぎってしまいそうになりました。
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コメント
この記事へのコメント
たくさんありがとうございます。
しばらく停滞気味だったのはリクエストを仕上げるためだったんですね。
しかもこんなにたくさん。
このシリーズ楽しいですね!終わりなんて言わずまだまだ書いて下さい。
蓮の話も蓮がデレデレで好きでしたがショータローのが私は好きです。<span style="background-color:#FFFF00;">キョーコ</span>の赤ちゃんに号泣したり、蓮より先に赤ちゃんを見たショータローに蓮がすねたり。
あ、四人目が欲しくなったら子守りを頼むとか。しかも三日も(笑)。

北海道の夜も楽しみにしてますね!
2015/05/28(木) 03:46:06 | URL | Aesop #-[ 編集]
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