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☆「それはホントに夢かしら?奏江Ver」
2015年05月26日 (火) | 編集 |
「それはホントに夢かしら?奏江Ver」





今日は『水森都シリーズ』の台本を貰いに事務所に寄った。次の仕事までまだ時間もあることだし……そう思って台本に目を通そうといつも通り部室に入った……つもりだった。

正確には入って椅子に座って台本を開いたところまでは覚えている。

なのに私はいつの間にかどこかの庭らしきところに来ていた。目の前には綺麗に手入れされた芝生に小さな噴水、花壇にはたくさんの薔薇が咲き誇っている。

そして私はその広い庭の一角に置かれているカウチでうたた寝していたらしい。淡いピンクのブランケットが掛けられていた。

くるりと辺りを見渡し、ため息を吐いた。

広い庭には花壇だけでなく、温室のような物が見えるし、手前には薔薇のアーチ、その奥には畑まであった。また背後には白壁の大きな家が建っている。

いったいどこのお屋敷なのだろう。

そう、邸宅だ。一般的に家と呼ばれるようなものじゃない。御殿……いや、そんな日本的な感じじゃなくて、どちらかと言えば洋館風の建物だ。所々西洋のお城っぽい雰囲気もある。

社長のお宅……?

その可能性は高いと思ったが、社長のお宅に来る理由が思い付かない。そもそもなぜこんなところで寝ていたのか。今まで何をしていたのか。どうやってここに来たのか。全くもって思い出せない。

とりあえず誰かいないか、誰かいたら話を聞いてみよう。立ち上がり、私はその屋敷の入り口を探すことにした。

大きな窓越しに見えたのは淡い色で統一されただだっ広いリビングらしき部屋と、ピアノが置かれた部屋。二階以上の階には窓それぞれにバルコニーがついている。角を曲がればそちら側は窓がなかった。いや、上の方に横長の窓があるが、高すぎて覗くことは不可能だ。そしてまた曲がれば今度はウッドデッキが設置されている。その手前の庭には白いテーブルと椅子、バーベキューコンロ、石で出来た簡易キッチン、ピザが焼けそうな石窯まであった。

テーブルにはすでに料理が並べられているようで、いい匂いが漂ってくる。

「あっ!モー子さん!起きたの?ちょうどよかった。ご飯出来たから起こしに行こうと思ってたのよ」

匂いにつられてテーブルまで近付くと、ウッドデッキから皿を手にした女性が声をかけてきた。嬉しそうな表情を浮かべるその顔は誰かに似ている。それにこの声……。

「キョーコ…………?」

「モー子さん?どうしたの?ボーッとして…………。モー子さーん?」

呆然とその場に立ち竦む私を不審に思ったのか、キョーコに似た女性が近付いてきて私の目の前で手をヒラヒラと振る。髪は伸びているけれど顔立ちはキョーコに似ているし、言動もキョーコそのもの。なのにいつものキョーコより大人っぽくて、そして美人だ。体型も女性らしい丸みがある。

「キョーコ……なの?」

「モー子さん?ほんとにどうしたの?まだ寝惚けてるの?はっ!まさか、寝てる間に私のこと忘れちゃった?」

しょんなあ~と泣きそうな顔で情けない声をあげる、キョーコ似の大人キョーコ。私は思わず笑ってしまった。姿は大人なのに、どうもキョーコはキョーコのようだ。

「わ、忘れる訳ないでしょ!あんたのこと。ちょっと寝惚けてただけよ!」

そう言い返せば、大人キョーコは安心したように笑った。

どうやら夢を見ているらしい。それも何年後かはわからないが未来の。

「さてと……準備も出来たし……蓮音?大丈夫?持ってこれる?」

キョーコがウッドデッキの方を振り向けば、五、六歳ぐらいの女の子がよたよたと大きな籠を持って出てきた。肩までの黒髪をピンクのリボンで結んだ、可愛らしい女の子。キョーコには……あんまり似ていない。

「だいじょうぶ!ハスネ、ちゃんともてるよ、ママ!」

にこりと笑って、危なっかしい足取りで一生懸命籠を運ぶ女の子、蓮音ちゃんは、やっぱりキョーコの子供らしい。

「何でも手伝いたい年頃なの。だから出来そうなことをやらせてるのよ。まあ、失敗することもあるんだけどね」

くすりと微笑みながらキョーコは蓮音ちゃんを見守っている。慈愛に満ちた母親の顔をして。

無事蓮音ちゃんがテーブルまで籠を持ってくると、その中には様々な種類の、美味しそうなパンがたくさん入っていた。

「モーコおねえちゃん、すきなのどうぞー」

ニコニコと笑ってそう言われると、呼ばれた名前に文句を言うことも出来ない。

「こないだはピザにしたでしょ?だから今日はパンを焼いてみたの。この赤いのがにんじん入り、緑のがほうれん草。これがセサミ、バジル、小さいのがチーズボール。あとはクロワッサンとバターロール」

「これ……あんたが全部焼いたの?」

「ええ、そう。蓮音もパン生地捏ねたり、丸めたりとか色々手伝ってくれたのよねー」

「うん!モーコおねえちゃん、ハスネがまいたのたべてみて!このバターロールとチーズのは、ハスネがぜんぶまるめたんだよ!」

嬉しそうな顔で得意気に語る蓮音ちゃん。顔立ちはキョーコに似ていないけれど、こういう表情はそっくりだ。

「じゃあせっかくだから、蓮音ちゃんが丸めてくれたこのチーズボールとバターロールを貰おうかしら」

「はーい♪どうぞー」

トングを使って蓮音ちゃんが器用にパンを皿に盛り付けてくれる。テーブルには他にも彩りも鮮やかなサラダ、冷製スープ、美味しそうな匂いのベーコン、フルーツが並べられていた。

「パパー?まだあ?もうたべちゃうよー」

「ダメ。やっぱり起きないから連れて行くよ」

蓮音ちゃんが二階に向かって呼び掛けると、そう返事が来た。

この声は……。もしかして…もしかして……。

「遅くなってごめん。琴南さんもお待たせ」

そう言って現れたのはやはり敦賀さんだった。少し老け…いや、年を重ねて、更に男の色気が増している気がする。腕の中に赤ん坊を抱っこしている姿は所謂“イクメン”そのものだ。

「やっぱり起きなかったかあ。蓮さん、ありがとう。嘉月、私が抱くわ。蓮さんは先に食べて」

「俺は後でいいよ。キョーコ先に食べて。もし嘉月が起きたらキョーコは食べられないんだから」

何だかもう夫婦って雰囲気だ。ラブラブ感が目に痛い。嘉月というのは赤ん坊のことだろう。

眠っているからはっきりはわからないが、キョーコに似ている気がする。

赤ん坊の月齢には詳しくないけれど、まだ一歳になっていないように見える。青い熊のキャラクターに水色のストライプの服。男の子かしら……?

じっと嘉月……くんを見ていると、蓮音ちゃんがにこにこ笑って教えてくれた。

「カヅキはママからしかごはんたべないんだよ。ワガママだよねー。いつもママにべったりであまえんぼうさんなの。きっとそのうちママをオヨメさんにするっていうよー」

「それはダメ!絶体許しません。ママはパパのお嫁さんだから嘉月にだって渡しません」

子供の無邪気な発言にも大人気ない発言を漏らす男。私は内心呆れた。

相変わらず独占欲が強いというか心が狭いというか。結婚しているみたいなのに……。キョーコも苦労するわね。

「蓮音、嘉月はまだ赤ちゃんなんだから甘えて当たり前よ。全然ワガママじゃないわ。それにあなたもそうだったんだから。ほら、あなたも欲しいパン取りなさい。早く食べましょう。蓮さん、モー子さんの前で恥ずかしいこと言わないで!」

「だってーっ。ハスネやパパからじゃぜったいたべないじゃない。しゃちょうさんもわらってたし……パパみたいだって」

「なっ……!俺みたい?なんで……」

「だってパパ、ママのテリョウリじゃないとたべないじゃん。おべんとうもママのじゃないとたべないし。オトナなのにワガママなんだからー」

「蓮音、パパをワガママだなんて酷いな。パパは別にママのじゃないと食べない訳じゃないよ。食べるの忘れちゃうだけで……」

後半声が小さくなった気がするのは……うん、突っ込まないでいてあげよう。

それにしても敦賀さん……キョーコがいないとほんとダメね。お弁当作って貰うとか……キョーコだって忙しいのわかってないのかしら。体が資本の俳優なのに、ご飯食べるの忘れちゃうとか……あり得ないわ。

そんなことを思いながら野菜ジュースらしき物に手を伸ばした。

「あっ!モー子さん、それは蓮さんが作った……」

キョーコがそう言い切る前にそれを口に含んでしまった。強烈な不味さが脳天を突き抜ける。野菜……?いや、なんか生臭い?

ああ、ダメだ。あまりの衝撃的な味に意識が遠くなる。




気付けば部室のテーブルに突っ伏していた。

「あれ……っ?」

私……何してたんだっけ?

パサリと何かが床に落ちる音がした。下を見ると台本が落ちている。

拾い上げれば、『水森都シリーズ』の台本だった。

ああ、そうだった。台本読んでたんだった。ということはさっきのはやっぱり夢……。

それにしても……。

私はキョーコの未来を思って心配になった。キョーコの気持ちはどうだか知らないが、あの男は絶体キョーコのことが好きだ。ということはあれが現実になる可能性も少なくない。

思わずため息をが出た。

あの独占欲の強い男はキョーコのことを雁字搦めにしそうだ。夢とはいえ、半分事実が混じっているので笑えない。

次の仕事に向かおうと部室を出れば、ちょうどキョーコがやって来た。

「モー子さあん!いや~ん、もういっちゃうのお?」

寂しいと飛びかかってきたキョーコをかわし、私は振り向いて言った。

「あんたも苦労するわね……。ほんとに嫌だったら全力で逃げなさい。嫌じゃないならきちんと教育なさい。甘やかしちゃダメよ」

言わずにはいられなかった。

キョーコは私の言葉に首を傾げていたが、私は仕事もあることだし、キョーコをそのままにして事務所を出た。

ごめんね、キョーコ。

今私に言えるのはこれだけよ。





<後書き>
ようやく出来たひなた様のバースデーリクエスト。毎度ながら遅れて申し訳ないです。しかし夢シリーズのモー子さん編がこんなに難しいとは!社さん編と同じくらい悩みました。いや、社さんより悩んだかも。モー子さんは好きだからこそ書けません。すみません。
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