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「モー子さんの心配」2
2015年05月27日 (水) | 編集 |
※本誌ネタバレ注意。ACT.221までを読んでる方のみお読み下さい。。後書き後のオマケは最新話ACT.224までを読んでからだとなおわかるかも。





「モー子さんの心配」2





『私に子供はおりません』

その残酷な言葉に、一瞬耳を疑った。

それは偶然だった。楽屋で主演を待つ間の時間潰しに、たまたま見ていた人生相談番組にあの娘の母親が出ていた。どうやら普段出演している弁護士の代打らしい。落ち着いた色のスーツを着こなし、いかにも出来る女という雰囲気だ。醸し出している空気に一切の隙がない。

確かに普段のあの娘とは全然違うわね……でも……。

やっぱりあの娘が演じる『ナツ』には似ている。無表情になる時のナツの人形みたいな無機質な顔と雰囲気がそっくりだ。心の内を見せない、いや、そもそも心があるように見えない、そんな風に見えるところが何となく似ているのだ。

感情的に訴える相談者にも、顔色一つ変えず淡々と法律的見解を述べる。『冷酷』と言う言葉が似合う、と今回のドラマの共演者も言っていた。

そして相談者がキレて言った言葉に彼女は淀みもせず答えた。

子供なんていないと――。

無表情で無機質な、人形のような顔を崩すことなく。

あの娘がこれを見ていないといいけれど――。

母親のことは割り切っているように振る舞っていた。氷点下のような親子関係だと。確かにもう慣れたと言っていた。『コンニャク』みたいに柔軟になっていると。そうやって受け流せるようになっているといったって、悲しくない訳ない。傷付かないはずがない。

私には見せない心の深い所でやるせない気持ちを抱えているはずだ。いや、見ないように蓋をして隠しているだけで、もしかしたら本人もわかっていないのかもしれない。自分がこんなにも辛い状態であることを。

『私の存在を疎ましいと思ってる』

そう言った時のあの娘の表情で、私が思う以上に母親とのことは相当根深いモノなのだとわかった。そしてそれを言わせてしまった自分に腹がたった。

その矢先がこれだ。

あの娘の存在を否定する言葉に、あの娘がどう思うか想像に難くない。よりにもよって疎ましい以上の、『存在しないもの』として扱われてしまったのだ。これ以上あの娘に傷付いて欲しくない。あの娘の瘡蓋を穿り返すことはもう止めて欲しい。

だからどうか見ていませんように――。

そう祈りながらも気が気ではなかった。無意識に携帯を手に取ってしまう。けれどあの娘のナンバーを鳴らすのは躊躇われた。

もし今電話に出てくれて、見ていなければそれはそれでいい。けれど何を話したらいいかわからない。あの娘に電話する緊急性のある話なんて思い付かない。鋭いあの娘のこと、滅多に電話なんかしない私が突然他愛ない話で電話したら不審に思って何か気付くかもしれない。

そう思ったら押せなかった。

暫く携帯を手に悶々としていると、スタッフが呼ぶ声がした。ようやく主演の俳優がが来たらしい。時間を見るとそれ程時間は経っていかった。けれど何時間も経っている気がする。これから本番なのになんだかどっと疲れた。

ミネラルウォーターを口に含み楽屋を出ると、階下から聞き覚えのある声が耳に入ってきた。吹き抜けだから走る足音まではっきりと聞こえる。見下ろせばどぎついピンク色が駆け回っているのが見えた。

なんだ……仕事中だったんだ。

よかった。

胸を撫で下ろした私の耳に、あの娘の元気な声が聞こえてくる。やっぱりあの娘には笑顔でいて欲しい。熱すぎる友情はウザいけれど、悲痛な表情をされるよりはマシだ。

今度美味しいハンバーグの店にでも誘ってみよう。それとも物凄く、物凄く不本意だけど、こないだ見つけたあの娘の好きそうな、メルヘンチックで可愛い雑貨が置いてある店にでも……いや、そこはやっぱり無理だわ。さすがにあの店に立ち入る勇気はない。

ハンバーグの店よ、ハンバーグの店。あそこにしよう。目玉焼きののったやつあったかしら。誘う前に調べてみよう。

そう思い付いて、私は軽やかにスタジオへ向かった。





<後書き>
ACT.221を読んだ後に思い付いたネタです。ちょこっと最初だけ試しに書いてたのを今回続きを書いてみました。蓮キョの本誌の続き妄想も書きたいけど、色々浮かんでしまって中々難しいです。オマケはACT.224を読んで追加しました。




オマケ


そして誘ったハンバーグ専門店で聞いた。

結果的に言うと、この娘はあれを見てしまっていた。

けれど私の心配は杞憂だったようだ。

確かにちょっと落ち込んだ、と素直に白状した。けれど意外と平気そうな様子で、これも演技の糧にすると明るい顔で言い切った。

ハンバーグが来ると何か思い出したのか、少し顔を紅くさせる。

「どうかしたの?」

「ななな、何でもないわ!!わ、わあ~美味しそう!早く食べましょう!!」

あまりにも不自然に誤魔化されたけれど元気ならまあいい。そのうち話してくれるかもしれないし、いつまでも吐かないなら無理矢理聞き出すだけだ。

とりあえず今日はこの娘が元気でよかった。

落ち込んだこの娘を誰が立ち直らせてくれたかは知らないけど、それは感謝する。少し悔しいけど、きっと私には無理だった。

その時を見てないからわからないけれど、落ち込んだと言うからには、相当ショックだったのだろう。

それをいつも通りにしてくれた。

「こっちも美味しいわよ。食べてみる?」

皿を差し出せばキョーコは嬉しそうな顔で頷いた。

やっぱりこの娘には笑顔が似合う。

本当によかった。
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コメント
この記事へのコメント
こうなるといいですね。
モー子さん視点の続き妄想ありがとうございます。キョーコちゃんほんとに慰められてこんな風にいつ戻り元気に立ち直ってくれるといいですね。蓮のあの様子で慰めないことはないでしょうが。できればこの間の出来事をお願いします。くろねこ様が予想する展開がどんななのか読んでみたい。
「彼のアドレス」もかわいくて好きです。メルアド交換しといて連絡こなかったら悲しいですもんね。あと文字じゃなく声が聞きたいなんて可愛い独占欲……キョーコちゃん乙女だなぁ。
2015/06/07(日) 10:43:40 | URL | 結城ヒナ #-[ 編集]
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