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◎「桃頭巾ちゃん」
2015年06月02日 (火) | 編集 |
「桃頭巾ちゃん」





それはとある国のとある少女の話です。

少女の名前はキョーコ。けれど彼女の変わった特徴から、人々からはこう呼ばれていました。『桃頭巾ちゃん』と――。

今日もキョーコはお気に入りの桃色の頭巾を被り、小さなバスケットを持ってある人物の所へ向かっていました。

ちょうど森の入口まで辿り着いた時、キョーコはフードを被った男に声をかけられます。

「やあ、お嬢さん。どこへ行くの?」

「森よ。知り合いに差し入れに行くの」

不審に思いながらもキョーコは素直に答えました。男は口許に笑みを浮かべ、キョーコに近付いてきます。

「そのバスケットの中身は何?」

「これは……な、なんでもいいでしょう。あなたには関係ないわ」

「そう……。そうだ。この近くに綺麗な花畑があるんだ。その人の家に行くならそこへ寄って花を摘んで行くといい」

「花?そんなものいらな……いえ…そうね、寄って行くわ」

キョーコは思い直し、男の言う通り花畑に立ち寄ることにしました。




キョーコが花畑に行くのを見送った後、男は急いで森の奥へと向かいました。彼女より先に会わないといけない。そう思って男は人が通らない獣道を人間とは思えないスピードで駆け抜け、あっという間に森の奥の小さな小屋に辿り着きました。

小屋の中からは静かな森とは不釣り合いな派手な音楽が流れています。男は一応そっと近付くと、窓から部屋の中の様子を窺いました。

どうやら目的の人物は在宅しているようです。しかもベットに横になっているようでこちらの様子には全く気付いていません。

しめしめ……。男はそう思いながらこっそり玄関に近付いていきました。そしてゆっくり扉を開けそっと中に忍び込みました。

中の人物はふわりと風を感じ、ふいに扉を見ました。鍵はかけていませんでしたが、閉まっていたはずの扉が開いています。不審に思い体を起こすと、そこに見知らぬフードの男が立っているのが目に入り、驚いて立ち上がりました。

「なっ!?てめえ、誰だ!」

「君に名乗る名前なんてないよ」

「はあ?…っていうか、勝手に入って来るんじゃねーよ!」

茶髪の男、ショーがそう叫びましが、フードの男はそれを無視し、ショーにどんどん近付いていきます。男の醸し出す得体の知れない雰囲気にショーは怯え、一歩、また一歩と後退していきました。

「な、なんだよ!?」

「君はもうすぐあの娘に殺される。でもそんなことはさせない」

男は怯えるショーに囁きました。

「なっ!?」

そして、ショーが怯んだ隙に自分の羽織っていたフードを脱ぎ捨て、彼を覆いました。フードから現れたのは美しい黒髪の男でした。そしてその頭にはもふもふと柔らかそうな毛の、黒くて大きい耳が生えています。

そう…彼はオオカミだったのです!しかしフードで覆い隠されているショーには見えません。人間の中では中々強いと自負しているショーは猛然と暴れますが、オオカミに勝てるはずもありません。圧倒的な力の前にショーは足掻き、叫んぶことしかできませんでした。

「て、てめー!何しやがる!オレにこんなことして、ただで済むと思ってんじゃねえーだろうなあ!!」

フードの中でじたばたともがくショーをオオカミは凄まじい力で押さえ付け、息切れしたところで急所に拳を叩き付けました。

昏倒したショーをオオカミは軽々と持ち上げ裏手の草むらに放り投げます。バキっと骨の折れる音が聞こえましたが、オオカミは気にせず扉を閉めました。

「彼女の手を汚させる訳にはいかないんでね」

ふっと不敵に微笑んで、オオカミはベットに寝転がりました。そして頭からブランケットを被ります。

もうすぐあの娘がやってきます。

オオカミは高鳴る鼓動を抑えられません。




程なくして、キョーコが小屋へとやってきました。少女はコンコンと小さくノックをして中に声をかけます。

「いるんでしょう?開けて。キョーコよ」

「開いてるよ」

「……?」

聞こえてきた声に違和感を覚えながらもキョーコは中へと入っていきました。

「具合悪いって珍しいわね」

キョーコはベットに向かって歩いていきます。

「あんたの好きなプリン、作ってきてあげたわよ」

「そう……。嬉しいな。こっちに持ってきてくれる?」

またもや聞こえてきたのはショーとは明らかに違う、穏やかで優しい声。しかも普段の彼とは言葉遣いがまるで違っています。こんなに丁寧な扱い今まで受けたことがありません。

よっぽど弱っているのかしら?

風邪ひくと声も変わるらしいし。

キョーコはそう思いベットの傍らに腰を下ろし、頭までかけてあるブランケットを少しだけ捲りました。

そこにいたのはキョーコのよく知る幼馴染みではありません。彼とは似ても似つかない、黒髪の美しい男。しかも頭にはふさふさの耳が生えています。

「なっ!?あ…、あなた誰?ショー……、あいつは?」

「彼ならいない。俺が食べたからね」

「は?何言ってるの?」

「君、知らないの?俺はレン。一応この辺じゃ名の知れたオオカミなんだけど……」

確かに男の頭に生えているのは、オオカミの耳です。キョーコはもう一度彼の耳を見ました。そして……。

「オ、オオカミ―っ!!」

悲鳴をあげたキョーコの口を、レンは慌てて塞ぎました。そしてベッドに引き込み自分の腕の中に閉じ込めてしまいます。

「そんなに驚かないで。別に俺は君を捕って食べたりなんかしないから」

フルフルと身体を震わせ自分を見上げるキョーコを、レンは優しく諭します。彼女がコクンと頷いたのでレンは手を離しました。

そのまましばらくキョーコはレンに大人しく抱き締められていました。どうしてかこの中にいると優しい穏やかな気持ちになれるのです。

安らかな気持ちにうとうとしてきたとき、キョーコは聞きました。

「私をどうしたいの?」

「もちろん食べる」

びくりと震えたキョーコに、レンはくすりと笑いました。

「……と言いたいとこだけど、また今度ね。今はお腹いっぱいだし」

「あいつを食べたから?」

「そうだよ。不味かったけどね」

「どうして食べたの?私が……私が殺そうと思ってたのに!」

「だからだ」

「……?」

「君の手があんなやつのために穢れてしまうのが嫌だったんだ。あんなやつ、君が手をかけるまでもない」

「……え?」

「君が俺みたいに穢れてしまわないように……俺はずっと見守っていたんだ。だから今日、君があいつを殺そうとしていたこともわかったし」

「どうして……?私…あなたのことなんて知らない……なのになんで……」

「今は言えない。でもいつか……いつか、きっと言うから……」

だからそれまで俺のこと待ってて。

レンはそう言ってキョーコの額に優しく口付けし、小屋を出て行きました。

一人残されたキョーコはただ呆然とベッドに座り込み、レンの触れた額に手をあてていました。まるで少しでもその温もりが消えないように。




それからしばらくして、オオカミの噂を聞き付けた狩人がやってきました。

「キョーコ!大丈夫なの!!」

狩人、奏江は勢いよく小屋の扉を開け放つと、まるで突進するかのようにキョーコに近寄ってきました。

「オオカミが出たって聞いたけど、大丈夫なの?」

「モ、モー子さん……」

「何もされてない?」

キョーコが答える前に、奏江はキョーコの体をあちこち調べます。普段は素っ気ない態度をとっていますが、奏江にとってキョーコは大事な親友です。

だからオオカミが出たと聞いて慌ててやってきたのです。

一通りキョーコの体を調べたあと、何もないのを確認すると、奏江は安心したようにキョーコの隣に座り込みました。

「で?オオカミには会わなかったの?」

「会ったわ」

「会った?……あんたよく無事だったわね。凶悪なやつなのに」

「でもいいオオカミだったわよ?」

「オオカミにいいも悪いもないの!」

「でもあいつ殺さなくて済んだし……」

「え……?そういやあいつは……?」

「なんか私が殺す前に食べたんだって」

「オオカミが?」

「うん。せっかく手向けの花まで摘んだのに……」

「そう……とにかく帰るわよ。もう暗くなるし。オオカミじゃなくても森にはヤバイやつ、たくさんいるしね」

奏江はそう言ってキョーコを立たせると、彼女を引き摺るように小屋を後にしました。

そんな二人の後ろ姿をレンは見守り続けます。

「キョーコちゃん、またね。次に会ったら今度はほんとに食べるからね。覚悟してて……」

そう妖しく呟くと、裏で伸びていたショーを担ぎ上げ、森の奥へと姿を消してしまいました。




その後、ショーが更正施設で心を入れ換え、遠い異国の地で歌手としてデビューしたのを、キョーコは知ることができませんでした。

なぜならそれどころではなかったからです。

「今度は食べるって言ったよね?」

キラキラと無駄に神々しいオーラを放つ男に、キョーコは思わず逃げそうになりました。しかしそうは問屋が卸しません。男はガシッとキョーコを掴み、逃がさないようにがっちりと腕の中に抱き締めます。

「逃がさないよ。じっくりゆっくり食べさせてもらうから」

「ひっ……!」

男はなおも逃げようともがくキョーコを軽々と持ち上げ、ベッドに運びました。

「もちろんベッドの上で優しくね」

「ひーえーっ!!!」

神々しい笑顔で男はキョーコに手を伸ばします。

キョーコはベッドの上で真っ青になりながら涙を浮かべ後退りました。

そんな怯えるキョーコとは裏腹に、男は満面の笑みで彼女を裸にしていきます。

青い瞳が彼女を愛しそうに見つめました。その瞳を前にすると、なぜか彼女の体は動けなくなってしまうのです。そしてそんな彼女の体を金色の美しい髪が這い回りました。

男の名はクオン。人を殺めたと思い込み、自らを律するためオオカミになる呪いを受けたレンでした。

そしてようやくその呪いが解けたのです。

彼は呪いが解けたその足でキョーコのもとへ赴きました。そして初恋の相手であるキョーコに求婚を迫り、親代わりの酒場の夫婦を説き伏せて無理矢理結婚してしまいました。

そんな二人の今日は初夜なのです。

まだ昼だと言うのに、キョーコは大きな耳のなくなったクオンに美味しく食べられてしまうのでした。





<後書き>
以前に書いていたものとかーなーり、変わってしまいました。なぜ?無理にコメディに持っていこうとして失敗しました(苦笑)。
白雪蓮を書かないといけないはずなのに、向こうのストーリーより何故か断片的に思い出したこちらを書いてしまいました。おかしいなあ。

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