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「光の憂鬱(後編)」
2009年05月11日 (月) | 編集 |
「光の憂鬱(後編)」



新年の挨拶ももう交わされることのない1月中旬。
鞄の中には渡せないままになっているとある包みがある。
クリスマスプレゼント用だったので、赤地に緑の木が描かれ金のリボンがかけられている。
なぜ包みがまだ手元にあるのか。別に、あの悪夢のクリスマスから「やっぱきまぐれロック」の収録がなかった訳ではない。
(そういえば俺とキョーコちゃんの接点ってそれだけなんだよなあ)
落ち込む理由をまた一つ見付けてしまった。だんだん落ち込み具合が深くなっていく。
まあそれは置いといて。
なぜ渡せないのか。
答えは簡単。渡す勇気がないからだ。
たまたま番組で共演してるだけの、ただの先輩に貰っても迷惑じゃないだろうか。しかもクリスマスプレゼントのつもりだったのだ。
今更なんて言って渡せばいいのだろう?
うじうじ悩んでいる内に時は過ぎてしまった。
鞄を開けてはため息をもらす、そんな日々。




それは一月最後の「きまぐれロック」の収録後のことだった。
「ない!ない!なーい!」
鞄から出した覚えもないのにそれは失くなっていた。
(なんで??俺、絶対今日も入れといたはずなのに!)
嘘だろう?
顔面蒼白で鞄の中を引っ掻き回すも、探しているものは見付からない。試しに全部中身を出してひっくり返したが、やはり結果は同じだった。
念のため楽屋の中もあちこち探してみる。
「なんでないんだよ~!」
「どうかしたんですか?探し物なら一緒にお手伝いしますよ?」
半泣きになっている所にキョーコちゃんがやってきた。着ぐるみを脱いだ直後なのか、汗が滴り落ちている。かなりセクシーだ。
「光さん?」
思わず我を忘れて見惚れていると、彼女が覗き込んでくる。
「あ、いや、なんでもないよ。うん」
「でも、今何かないっておっしゃってませんでした?」
「うん。いや、たいしたものじゃないから。雄生達にも聞いてみるし。それより用があったんじゃないの?」
挨拶ならさっきしたから、わざわざ楽屋まで来る必要なんてないはずだ。
「あっ、そうでした。光さんが帰る前にお礼を言わなきゃって」
「お礼?」
「はい!ありがとうございます!プレゼント…大事にしますね」
「へっ?プレゼント?」
「……?あの……光さんがくださったんですよね?さっき雄生さんが光さんからだって……これを……」
(あーっ!)
キョーコちゃんが差し出した手には、ちょこんと小さな箱がのっていた。
間違いない。俺が渡したくても渡せなかったプレゼントだ。白い箱にラブミーツナギと同じ色のピンクのリボン。クリスマスラッピングされる前に一度見たから覚えてる。
(ゆ、雄生のやつ~~)
「そうだけど……その……えと……遅くなったけど…た、誕生日プレゼントなんだ。お、お誕生日おめでとう」
あいつへの怒りはさておき、とりあえず目的は遂行されのだ。詰まりながらも無事言えた。
「ありがとうございます。私なんかのこと、気にしていただいて」
キョーコちゃんのほんのり色付いた頬を見ていたら、俺の方がもっとほてってきた。
「あの……開けてもいいですか?」
「えっ?あ、うん、もちろん」
とりあえず中に入ってもらい、向かい合って椅子に座る。机に箱が置かれ、シュルリとリボンを解き、蓋が開けられた。
中には小さなリングが一つ。
「かわいい!」
(よかった。喜んでくれた……)
「これ、ピンキーリングですよね?」
「うん。たまたま見付けて。その……キョーコちゃんに似合うかなって……」
顔がどんどん熱くなって、心臓がドクンドクンと激しく鼓動する。
「つけてもいいですか?」
「もちろん。似合うといいんだけど」
ピンクゴールドのリングはアンティーク調のクラウンがデザインされていて、クラウンのセンターにはアクセントにダイアモンドが1石留めてある。
上品でとても女性的、それでいて可愛いデザインだ。
店員さんも「こんなに可愛いクラウンモチーフだったら、きっとヨーロッパのお姫さま気分が味わえますよ」なんて言っていた。
キョーコちゃんの細い小指に嵌められたそれは、より一層輝きを増した。
「似合うね」
「ありがとうございます。でも……いいんですか?ほんとにいただいても」
「うん。キョーコちゃんに貰ってもらえると嬉しいよ。それとも気に入らないかな?」
「いえ!可愛いです。その……男性からこういうのいただいたことがないので……恥ずかしい」
俯いた彼女の手は指先まで真っ赤だ。
可愛い。こんなことでこんなに喜んで恥じらって。
彼女に俺のことを好きになってもらいたい!彼女のことをもっともっと知りたい!
「あのさ……」
「はい?」
「もしよかったら……」
コンコン。
意を決して口を開いた所でノックがされた。返事を待つとなくドアが開けられ慎一が顔を出す。

「リーダー…キョーコちゃん、ここにいる?フードコーディネーターさんが呼んでるんだけど」
「あ、はい。すぐに行きます。あの……光さん、お話途中なんですけど……」
「あ、うん。行ってきて。別にたいしたことじゃないから。また今度、ね?」
「はい……。あ、これ、ほんとにありがとうございました。大事にしますね」
もう一度ペコリとお辞儀をして、彼女はパタパタと駆けて行った。
「リーダー、渡せてよかったね」
「…………」
「雄生もああ見えて心配してたんだよ?ここのとこ、ため息ばっかだったから」
「そうだな……あいつのおかげだ。感謝しなきゃな……」
(そうだ……あいつが渡してくれなかったら、誕生日おめでとうの一言すら言えなかった)
「よし!じゃ、今日は俺奢る!」
「やった!リーダー、太っ腹!」




あの後、上機嫌で雄生達と騒いだのは夢だったのだろうか。
1月30日の今日、また落ち込む会話を聞いた。
キョーコちゃんの所属する、ラブミー部の部室の前を通りがかった時のこと……。
「手巻き寿司なんてどうかなあ?」
「敦賀さん?何だって食べるでしょ?」
「あら?そんなことないわよ、モー子さん。あの人、あー見えて少食で食べることに興味ないんだもの……毎回なんでもいいって言うのよ!」
「そりゃあんたの作るものならね……」
「え、何か言った?」
どうやらキョーコちゃんともう一人のラブミーの娘みたい。
別に聞き耳をたてていた訳じゃないけど、聞こえてきたんだ。あんまり嬉しい話題じゃないけど……。
(そっかあ……キョーコちゃん、敦賀さんと……俺とは食事にも行ったことないのに……)
俺が聞いているとも知らず、二人は変わらず会話を続ける。
どうやら今日、敦賀さんと食事をするらしい。しかも察するにキョーコの手作り!
(うらやましいなあ……俺も食べたいなあ、キョーコちゃんの手作り)
「そういや、あんた。今日それ外していきなさいよ?」
「どうして?」
「それって、あのブリッジ・ロックの小さい人に貰ったんでしょう?」
「光さんのこと?そうよ?この間いただいたの」
(小さい人……まあそりゃ……って、俺のあげたリング、キョーコちゃんつけてくれてるんだ!)
「それ、誰に貰ったのか聞かれたらまずくない?」
「……マズイ…気がする……」
「でしょ?あんた嘘つけないし、どこで『坊』があんただってバレるかわかんないんだし」
「わ、わかった。外していくわ。ありがとう、モー子さん。あやういところだったわあ~」
「ちょ、ちょっと、抱き着かないでよ!大袈裟なんだから……。じゃ、気を付けてね」
「うん?」
ガチャリとドアが開いて、髪の長い綺麗な娘が出てきた。
(あわわっ!隠れなきゃっ!)
慌てて廊下の窪みに身を潜める。
「それにしてもあの娘、鈍感にも程があるわ……。好きな女が他の男から貰ったもの身につけてるの、平気な男がいる訳ないじゃない。あの人結構嫉妬深そうだし……。だいたいマンションで二人きりなんて……。狼の理性を試すようなことするんじゃないわよ、キョーコ!」
俺の前をブツブツ言いながらその娘は通り過ぎてった。
(マンションで二人きり……?キョ、キョーコちゃーん!)
衝撃の余波に真っ青になっている目の前を、噂の狼、もとい、敦賀さんが通り過ぎて行った。
「ほんと、危ないところだったわ!さっすがモー子さん!じゃないとまた夜の帝王……あっ!」
ちょうど出てきたキョーコちゃんもその姿に気が付いた。
「やあ、最上さん。待たせてごめんね。じゃ、帰ろうか」
「は、はいぃ!」
おっかなびっくり返事をした彼女の荷物を、さりげなく敦賀さんが肩に掛けた。
キョーコちゃんと敦賀さんが並んでこちらにやってくる。後ろを歩きたがる彼女に、敦賀さんが合わせようとするので、必然的に歩みが遅くなる。
通り過ぎるまでの時間は拷問だった。
「で?何が危なかったの?夜の帝王って?」
「な、なんでもありませ~ん」
「ん?」
「やややや、やめて下さい!笑顔で威すの!」
「威してないよ?聞いてるだけ」
「それが威してるんです!!」
「傷付くなあ」
「なんですか!その嘘くささは!」
「君もたいがい失礼な子だね。そんなに俺を夜の帝王にしたいのかな?」
「いっやー!」
「では、お姫様のご期待に応えるとしましょう♪さ、今夜のために早く帰ろうか、姫」
「ひーえーっ!」
(なんだあ~あのキラキラ笑顔は!ていうか、なにあの会話!)
俺が呆然としている前を、二人はどう見ても痴話喧嘩な会話を繰り広げながら歩いて行った。
それはもう仲良さそうに。
(ん?そういや…)
「夜の帝王……?」
「なになに!?なんかエロい響きだねー……リーダー?」
ぼそりと呟いた言葉を迎えに来た雄生と慎一に聞かれてしまった。
(やっぱりそういうイメージだよな…と、いうことはすでに……)
「はあ……。やっぱり女の子は上手い方がいいんだよな……」
夜の帝王なんて…俺には無理!絶対そんなのになれっこない!
「……はあ」
ため息はとどまることを知らない。
先程の会話に夜の帝王……勝ち目はゼロだ。
あのクリスマスからわかってたけど……わかってたけど!
まだ認めたくない。
キョーコちゃんの今夜が気になったけど、できれば今日のことは記憶から抹消したい!
じゃないとこの深海よりも、マリアナ海溝よりも、地球の裏側よりも深く沈没した心は浮上しそうにない!
ああ、神様!!
どうか俺を助けて下さーい!






<後書き>
ようやく後編終わりました。なんとか辿り着けたー。前編に比べなんて長い。
こんな予定じゃなかったのに。
すべては光がどうやってキョーコにプレゼントを渡すか、全く考えてなかったことが原因です。そこがすこっと丸々抜けたまま書き始めたものだからさあ大変!
このヘタレめ!早く渡さんかーい。いつまでうじうじしとんねんと怒り、結局他力本願に。
やっぱり長めのはプロット書いてから書くべきですね。
ピンキーリング…昔高校時代に友達でお揃いを持つのが流行っていたのだとか。研修合宿中、女の子達が彼氏に貰ったとかで騒いでいる時聞いて、取り入れてみました。
ちなみに光は勘違いしてますが二人はまだできてません。
端から見たら、バカップルの痴話喧嘩にしか見えない二人を書くの好きなので、光くんには泣いて貰うしかないですね。
関西人という設定をまるで無視してます。あと慎一君のキャラがイマイチ掴めなかったので適当。
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