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彼女の嘘と彼の苦悩 side K
2009年07月15日 (水) | 編集 |
ようやく完成しました。なんというか当初三人称で書いたのと違うものになってしまいました。
しかもエロは……ありません。詳しくは後書きにて。




「彼女の嘘と彼の苦悩 side K」




私、最上キョーコ。駆け出しのタレント17歳。
明日はいよいよ初めての北海道。一泊だけだけれど楽しみにしていた。
今日は明日のロケに向け、先に流すVTRの撮影が急遽行われることになった。学校を途中早退して急いでテレビ局に入る。
一時は立入禁止になっていた場所だけに感慨深い。
「急にごめんね、キョーコちゃん。忙しいのに」
いつものスタジオに入ると、最近よく声をかけて下さるADさんが真っ先に気付いてくれた。
「これ、今日の台本。北海道……楽しみだね」
「そうですね。私も北海道初めてなので楽しみです」
ひそかにウキウキしていた私は、弾んでいるのが自分だけじゃないのにホッとした。
ロケ場所は函館だ。有名な観光スポットがたくさんある。美味しい食べ物もあるだろうし。
「もしちょっとでも空きができたらさ、一緒に……」
二人で函館談議でひとしきり盛り上がる。彼が急に真剣な顔をした時、背後で怒鳴り声した。
「さっさと着替えてこないか!なんのために先に呼んだと思ってる!お前も!暇ならもっと仕事させるぞ!」
二人で顔を見合せ慌てて返事をし、急いで準備に入った。



慌ただしく撮影が終了して、帰り支度をしている時携帯が光っているのに気がついた。
どうやら着信があるようだ。
「……敦賀さん?何かしら……」
しかも昼から何度もかけて下さっている。
(もう夕方だけれど……今かけても迷惑じゃないかしら)
でも気になって、かけてみた。
「もしもし……あの…、何度もお電話いただいたのに出れなくてすみません」
『いいよ。気にしないでそれよりさ……』
敦賀さんは移動中だったようで、すぐに応答があった。
(なんだか安心する声よね……)
『明日、君…オフだよね?俺も午後からオフなんだけど、どうかな?俺の家に来ない?』
(え……?どうして?私対外的には確かにオフにしてるけど……なんで敦賀さんが知ってるの?)
『最近忙しくてあんまりまともに食事できてないんだよね……。また君にご飯を作って貰えると嬉しいなって……』
黙り込む私に、敦賀さんは更に言い募る。内容的にはかなり気になるんだけれど……。
「……あの、すみません……。お作りしたいのは山々なのですが、明日からその……ロケなので……」
『えっ……?』
困惑した声がした。
(そんなに私に食事作って欲しいのかしら?敦賀さんならお腹空いたって言えば、何か作ってくれる女の人がわんさかいると思うんだけど……)
『それ、ドラマか何か?それともバラエティー?』
聞いて欲しくない所を追及される。
(どうしよう?なんて言えばいいの?)
「いえ、その……バラエ……あの……その……えと…あ、ラブミー部の仕事で……」
どうにも上手く答えられない。
(だって明日は……)
『へぇ~。どこに行くの?泊まり?』
「その……北海道です。一泊だけですけど」
『北海道に一泊なんてキツイね。どんな仕事?』
「……っ!!いえ……その…全然、全く!楽しくない、敦賀さんにお聞かせするようなものでは……」
(いーやーっ!それ以上聞かないで!!無理!無理!!)
これ以上はぐらかすことなんてできない。敦賀さんが黙っている間に、仕事だからと挨拶もそこそこに電話を切った。
(こ、怖いよ~~)
しばらく私は携帯を思いきり握りしめていた。



「急に切って、敦賀さん怒ってるわよね。でも…しばらく会わないし。次に会ったらきっと忘れてるわね」
呑気にそう考え、夜荷物を詰め終わり寝ようとしていた。ちょうどその時、携帯の電源を切ったままにしていたことを思い出した。
留守電が一件入っている。
「よかった。敦賀さんじゃない」
『すまん、最上くん』
何気なく聞いた伝言は、椹さんの意味不明な謝罪だった。
「……?」
結局翌日飛行機に乗る前電話したが、椹さんは捕まらなかった。
私がその謝罪の意味を知るのは、その日の夕方のこととなる。




「あっつーい!!」
バラエティー番組「やっぱ気まぐれロック」の収録で訪れた函館は、東京よりは涼しかった。しかし北海道とはいえ、着ぐるみで動き回ると暑い。特にこの「坊」は人?一倍アグレッシブだ。動く量も質も半端じゃない。
撮影も一段落し、ADさんが背後から扇いでくれたけれど汗は止まらない。
「少し脱いできてもいいですか?」
街中で着ぐるみを脱げない私は、ロケバスに戻って汗を拭きたかった。
「いいよ。今日はあとブリッジのカットだけだから」
「ありがとうございます」
早く着替えたくていそいそ駐車場に向かっていると、長身の男性に行手を阻まれた。
「……?」
不審に思い顔を上げ、そこで私は悲鳴を上げそうになった。
そこにありえない人のありえない顔が!!
「つっ、つ、つ、つつつ……」
(いーやー!!なんで!?なんで!?)
パニックを起こし、上手く声が出ない。
「やあ。こんなとこで逢うなんて、奇遇だね」
にっこり笑顔の彼が力いっぱい私を掴んでズルズルと引っ張って行く。
駐車場に着くと、ロケバスにいたスタッフが気付いてドアを開けてくれた。
「彼女、ちょっと気分悪いみたいだから先に帰ってもいい?」
きっと笑顔なのだろう。女性スタッフが真っ赤になってブンブンと首を振る。
「ありがとう」
半分失神しそうな彼女は、慌てて他のスタッフに伝えに行った。
車内は私と彼、敦賀さんの二人きり。
シーンと静まり返っている。
沈黙が怖い。
あれほど暑かった躯が今は震えるぐらい冷え切っていた。
(どうして敦賀さんがここにいるの?なんで?坊に相談?)
どう考えても違うわ。
黙っている敦賀さんは、じっと私を見ている。偽紳士笑顔は消え、すごく冷たい瞳をしている。
坊の着ぐるみがガタガタと震えていた。体中を恐怖が支配する。
どうしてこんなに恐れているのか、何に怯えているのか、自分でもわからない。
「脱がないの?暑いんでしょう?ねえ、最上さん」
決定的だった。
坊=最上キョーコ。
昨日の椹さんの留守電はこのことだったのだ。
私は諦めて頭を取った。
「着替えてホテルに帰ろうか」
嘘くさい笑顔の紳士の囁き。逆らうことなんてできない。




「あの鶏が君だったなんてね」
知らなかったよ、と部屋に着くなり敦賀さんは言った。
俯く私の顔を、指で無理矢理持ち上げる。
「ねえ、どうして隠してたの?」
キュラララと光を振り撒きながら笑顔が尋問する。
(怖い!この笑顔が怖い!)
「あの…その……」
「ん?」
「敦賀さんこそどうして……」
「昨日、君の態度がおかしかったからね。気になって椹さんに聞いたんだよ。それで今日の仕事が終わってからすぐこっちに来たんだ」
敦賀さんは相変わらず笑顔だ。
「ねえ、隠していたのはどうして?言ってごらん?」
怒ったりしないから、なんて言っておられますけど!
(十分お怒りでしょう!いやああぁぁ!!怨キョレーダーが興奮してるー!)
キュラキュラ笑顔の魔王様がどんどん迫ってくる。
「ねえ、どうして?」
トンと足に何か当たった。
いつの間にかベッドサイドにまで追い詰められている。
ベッドに座ることを余儀なくされ、そのままのしかかられるような体勢に持ち込まれそうになった。手を突いて慌てて逃げるもすぐに行き止まりになる。
「もう逃げられないよ」
にーっこり、と極上の笑顔。
(ひーっ!か、確実に喰われる!)
まさに狼に狙われたウサギのような心境だ。プルプル震えた憐れな小さな生贄の私。
それども諦め切れず、ズルズルと足だけでも体に近付けた。
「どうして黙っているの?」
綺麗な瞳に怯えた私が映っている。
「ん?」
最上級のキュラ笑顔にこちらの恐怖もマックスに高まって、自然と涙が溢れた。
(怖い、怖いよー!!)
軽井沢の時とはまた違う恐怖感。
「答えたくなるようにしてあげようか?」
怪しい瞳で私を見つめ、薄く笑みを浮かべた唇が迫ってくる。
軽く押し当てられたものは案外柔らかかった。
「敦賀さん……?」
これはキスなの?
戸惑う私の眼前に再び端正な顔が近付いてくる。今度はすぐには放れず、舌で唇を舐められた。
長いくちづけに息が出来なくなる。空気を求めて開いた隙に、ぬるりと舌が入り込んできた。
「んん……っ、……ふっ……ん……」
まるで蛇のように絡み付いてくる舌から逃れようとしても、敦賀さんは執拗に追いかけてくる。
息苦しさに顔を背けようとしても、顎を掴まれていて動くことも出来ない。遂には搦め捕られた舌を強く吸われた。
そうして何度も吸われたり、口蓋や歯茎を舐められたりしてある間に、なんだか頭がぼうっとしてきた。
縦横無尽にうごめく舌に翻弄され、呼吸困難に陥ってしまう。
ぐったりした私を、敦賀さんがようやく解放した。
「はあ、はあ……はあ……」
「言う気になった?」
クスリと笑った顔に躯が震える。
ゾクリと寒気が走ったのは恐怖にか、それとも……?
長い長い北海道の夜が更けていった。




翌日、なんとか残りの撮影を済ませた私は、帰りの飛行機の中で困惑していた。

『俺が好きなのは君だよ。愛してるんだ』

敦賀さんの思いがけない告白。

『次に会ったら逃がさないよ。覚悟して?』

甘く囁かれた言葉が頭の中を何度も駆け巡る。
そして首筋と躯のあちこちに遺る赤い痣。
この痕が消えるまでに答えは出るだろうか。
まだ怖い。
(でも……)




最上キョーコ、17歳。
甘くほろ酔い体験をした北海道。
私はきっと忘れない。




<後書き>
キョーコ視点。いかがでしたでしょうか。最後、夜の帝王が暴走し過ぎてこりゃ注意書きがいるわと全削除を通達されてしまいました(キスぐらいはノーカウントで)。
つーか蓮より明らかにキョーコの方が苦悩してますな。
しかしコメディーにしたいのですが、キョーコさんは悩み出すとシリアスになっちゃう。男がヘタレて悩む分にはいいんだけどな。
なので少しギャグテイストを入れました。シリアス&エロい北海道の夜(または夜の帝王暴走編)はどうしましよう。
本番はしてないから、たいしてエロくないっちゃあエロくないんですが。
そちらをアップするかいなかは皆様の反応次第でしょうか。ドキドキ。


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