花とゆめ連載「スキップ・ビート!」の感想&二次SS中心です。当サイトはリンクフリーです。
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☆◎「いきなり!節約生活」
2015年03月07日 (土) | 編集 |
「いきなり!節約生活」





先日、とある大物カップルが芸能界を騒然とさせる報告をマスコミ各社に流した。その後すぐに二人の所属事務所が記者会見を開き、それが世間に知られることとなった。それから毎日あらゆるマスメディアが独占インタビュー試みようと、本人達の預かり知らぬ所で壮絶な攻防戦を繰り広げている。

そんな中、とあるテレビ局のとあるスタジオで、とあるバラエティ番組の収録が行われた。

盛大な拍手の中、司会役のタレントが番組を始める。たわいない話題とレギュラーの紹介を終えると、いよいよ今日のメイン企画が発表された。

「カップルで挑戦。1ヶ月一万円生活!」

モニター画面に写し出されたタイトルに歓声が上がる。

「なんと挑戦者は……節約生活でアイデアレシピを次々産み出している女優、京子さんです!」

「と、いうことはお相手は……いやあ楽しみですね~」

「何しろあの方ですからね~」

「では、早速登場していただきましょう。先日交際を発表されたばかりの京子さんと敦賀蓮さんです」

司会者の紹介が終わると、拍手の中、キョーコと蓮はスタッフの合図でセットの中央へ進んだ。

二人で司会者の前に立つとすぐ、交際報告からの一連の騒動を纏めたVTRが流された。まさか記者会見の裏側まで撮影されているとは思っていなかったキョーコは、頬を深紅に染める。そんなキョーコを蓮は愛しそうに見つめていた。VTRが終わると、司会者が真っ先にそれをからかい、キョーコをいっそう居たたまれなくさせた。

さんざん二人を冷やかした後、司会者はようやく本来の挑戦に話を戻した。

「いや~、まさか敦賀さんがこの伝説に出演して下さるなんて思ってませんでしたよ」

「ほんとほんと!なんか節約なんて一番似合いそうにないですもんね」

「倹約とか節約なんて言葉、知らないんじゃないんですか」

「光熱費とかかかるのも知らなさそうですよね。まあ今回は特別ルールで光熱費は免除ですけど」

などと、司会者とレギュラータレント達に口々に突っ込まれ、蓮は苦笑いするしかない。

「彼女がしっかりしてますからね。俺はほんと何にも出来なくて……正直怒られてばかりなんですよ」

「敦賀さんが怒られるんですか!?信じられません」

「ええ。そりゃもう凄い剣幕なんです。まあそれも可愛いんですけどね」

ハハハと爽やかに笑う似非紳士にムカついて、キョーコは思わず隣の男の腕をつねる。

(なんてことを言うのこの人!!家でならまだしも、公共の電波使って恥ずかしい人ね!!)

「だって敦賀さん、高いスーパーで高級食材ばかり買ってくるんですよ!あの時はほんとにこの挑戦終わったかと思いました!!」

怒りのままにキョーコが訴えても、レギュラーの女性陣は「そりゃそうよね。仕方ない仕方ない」と、蓮には寛容だった。

(でもほんと、今日まで大変だったんだから!)

キョーコは始まったVTRを見ながら、2週間前のことを思い出していた。




2週間前――。

「ここが俺達の愛の巣だね♪」

「……敦賀さん、何度も言いますがこれはお仕事なんですよ?お・し・ご・と!」

「わかってるよ。でも少しぐらい……ね?」

「少しぐらいって、何ですか!何を考えているんですか!撮影なんですよ!カメラがあるんですよ!」

「もちろんわかってるけど、ただキョーコと一ヶ月も暮らせるなんて夢みたいだと思って……」

キョーコと蓮はスタッフに案内され、1ヶ月間生活するマンションに来ていた。都内某所にあるマンションの一室。その前で二人は早速痴話喧嘩を始める。

「あんなに俺が説得してるのにキョーコはいつまで経っても俺の所に来てくれないし」

「当たり前です。ただでさえ結婚前に敦賀さんの所に入り浸り過ぎるなって注意されてるのに!」

「誰に……?」

地を這うような低い声で問われ、キョーコは慌てて弁解した。

「た、大将ですよっ!も、もちろん……それより…あ、愛の巣へ早く行きましょう」

だるまやの大将に言われたのももちろん本当だが、実は他にも松太郎とレイノに知られてしまっていた。というかなぜか見抜かれてしまっていたのだ。

ムカツクことに松太郎からは、

『お前のことだ。一緒に暮らしたら家政婦にしか見えなくなるぞ。お前は重いんだから』

などと馬鹿にされ、いつものように口論になった。もちろん怨霊アタックで返り討ちにしたが。

おまけにレイノには、

『あんなのと一緒にいたらお前まで毒されるぞ。早く別れろ』

と、ことあるごとに注意を促してくるのだ。しかも毎回、番号を教えていないキョーコの携帯に。本当にあの男は特殊な電波でも使っているのではないか。キョーコはそう思えてならない。

ただ今そのことを言えば、被害を被るのはキョーコの方だ。意外と嫉妬深く独占欲の強い蓮のことだ、まずはキョーコが自分だけのものだと確認するために愛の営み――つまりはセックス――をしようとするだろう。そうなれば撮影どころではない。

キョーコは慌てて蓮の腕を掴み、先に部屋に入っていたスタッフの後に続いた。

今までの節約生活で使用していた1LDKのマンスリーマンションと違い、2LDKもあるのでとても広く感じる。カップルでの挑戦だからか、それとも蓮に気を遣ったのか、明らかに高いマンションだ。

奥の扉を開けると広いリビングが現れた。スタッフの遊び心か、はたまたからかいたいだけか、ハートの形のテーブルが中央にドドンと居座っている。テーブルクロスもなぜかピンクと青のハート柄。よく見れば食器棚の中にもハート柄が溢れていた。悪乗りしているとしか思えない。

「……どこの新婚バカップルの部屋よ」

キョーコが呆れて呟く。水回りを見れば、そこも同じように大量のハートに埋め尽くされていた。しかも隣の寝室には、この部屋に不釣り合いなキングサイズのベッドまで置かれている。ご丁寧にハートの枕まで付いて。

「……ここまでされるとなんだか物凄く悪意を感じるわ」

キョーコはそう言うと、スタッフの説明もそこそこに早速キッチンに入った。今さら部屋を変更しろとも言えないし、バラエティ番組なので仕方ないと諦めるしかない。

使い勝手のよいようにキッチンを整理していると、何やら蓮はスタッフに尋ねているようだった。

「もしかして、24時間カメラマンがいるの?」

「いえいえ。カメラマンは収録の時と現金徴収の時だけです。撮影は全て何台かのカメラを固定して録ります」

「まさか寝室にカメラはないよね?」

「……いや、あの…ありますけど……あ、いや…でも赤外線ではないので暗いから映りません。ああ、もちろん音声は入りますが」

「音声ね……」

「つ、敦賀さん……?何を考えてるんですか?」

そこへ不穏な空気を感じて、少し前から聞き耳をたてていたキョーコが慌て話に割って入った。

「そりゃあね♪1つしかないよ、キョーコ」

「な、な、なな何を考えてるんですか!!仕事ですよ、仕事!わかってますよね!?」

「それは辛いな。一ヶ月もキョーコと一緒にいて触れられないなんて!」

「我慢して下さい!」

「じゃあ浴室ならいい?」

「はっ!?ダメです」

「ならトイレ」

「却下!!」

「あの~別に編集するんで、放送に使えないとことかヤバイのはカットしますから安心してエッ……」

「私が嫌なんです!!」

二人の不毛な言い争いに、いたたまれなくなったスタッフが慌てて宥めに入った。しかしキョーコはキッと彼を睨んで叫んだ。




そんなこんなで始まった二人の節約生活は、やはり容易いものではなかった。

それも当たり前のことだ。蓮の金銭感覚はやはり一般人とはかけ離れすぎていた。節約なんてしたこともなければ、自分が今までセレブな生活を過ごしてきたという自覚のない蓮に、普通の庶民よりも倹約させるなんて、いきなりハードルが高過ぎる。いくらキョーコが節約術に長けていても、かなり厳しい挑戦だった。

節約生活が始まって数日。キョーコはすでに後悔していた。

「家事をキョーコに任せきりだから買い物ぐらいさせて」

そう言った蓮に、昨日早速買い物を頼んだのだ。その結果がこれだ。

「~~っ!!」

テーブルの上に広がる光景にキョーコは絶句した。

百グラム一体いくらするのかわからない、白く美しいフランス産の雛鳥の鶏肉。見たこともないぐらい巨大な椎茸に烏骨鶏の卵。普通に見える玉葱もなぜか1つ1つ柔らかい布に包まれている。

今日で一体いくら使ったのか、恐ろしくて考えたくもない。

始まって1週間も経たずにまさか全額使ってしまう…なんてことはないと思うが、せっかく昨日まで小麦粉レシピで出費を500円で抑えていたのに、これではそれもパーだ。それどころかマイナスだ。

キョーコは恐る恐る財布を開けた。昨日まで9520円あったはずの財布には千円札が二枚と小銭が数百円。それだけしか残っていない。残り26日を二人で乗り切るなんてできるだろうか。

とりあえずキョーコは死ぬ気で考えた。頭の電卓を必死に弾いてみるがショックで集中できない。

「……俺、何かまずいことした?一応店で一番安いの買ったつもりなんだけど……」

難しい顔しているキョーコに蓮は不安になって尋ねた。何が間違っていただろうか。言われた通りの物を購入したはずなのに……。

どうやら蓮は、いつも使っている自宅マンションの地下にあるセレブ御用達スーパーで買ってきてしまったようだ。さすがに蓮が自分のように自転車で安いスーパーと直売所巡りをするとは思わなかったが、まさかあのスーパーで買ってくるなんて……。スーパーを指定しなかった自分が悪い。そもそも蓮を一人で買い物に行かせたのが間違いだ。

キョーコははあ~と1つ息を吐いた。そして、

「ここ、普通のスーパーより高いんです。次からは二人で行きましょうね」

にっこり笑ってしょんぼり落ち込んでいた蓮を宥めた。

蓮がほっとしたようだったので気を取り直し、食材をいかに膨らまし、保存するかを思案した。少しでもこの食材を長く使えるようにするにはどうすればよいか。うんうんと唸りながら、キョーコは蓮に昨日作っておいたショートパスタを茹でるよう頼んだ。

(とりあえず椎茸と鶏肉は半分冷凍して、玉葱は酢漬けにして……鶏肉はちょっとだけ挽き肉にしておこうかしら?)

思い付いたレシピと保存方法を書きとめると、キョーコは早速キッチンに向かった。

「ちょうどよかった。キョーコ、茹で加減はこの位でいいかな?」

蓮が嬉しそうに振り向いて、キョーコに茹でた貝殻型のパスタを差し出した。キョーコはそれを一口含んで微笑む。

「バッチリです。後はソースと絡めれば終わりです」

「サラダは俺がやるよ」

そう言って蓮はタッパーに入れてあった野菜を彩りよく盛り付けていく。

「敦賀さん、上手ですよね」

「そう?嬉しいな。でもキョーコが野菜を切ってくれてるからね。俺が切ってたらきっと凄いことになってるよ」

「ふふ。そうかもしれないですね」

そんなことを和気あいあいと二人で話しながら盛り付けをしていく。

しばらくしてソースを作り終えたキョーコは、お玉で掬って味見をした。

「うん!美味しい。敦賀さんも味見しませんか?」

キョーコが差し出すと、蓮はいそいそと目を閉じて口を開けた。あーんとして欲しいらしい。

「……馬鹿」

呟きつつ、不承不承食べさせてあげた。

「美味しいよ……あっ、キョーコ、こっち向いて」

「…………?」

素直に示された方を向くと、唇の端に生暖かい感触がした。

「………っ!」

蓮が口元に付いていたソースをペロリと舐めたのだ。

キョーコはボン!と顔を爆発させ、口をパクパク何度も開閉した。そんなキョーコを見て蓮はくすくす笑う。

「そんな可愛い顔しちゃダメだよ?キスしたくなる」

「~~~~っ!!」

キョーコは恥ずかしくて憤死しそうになった。

(あなたはどこのイタリア人ですか!いいえ!イタリア人だってこんなハレンチな人いないわっ!)

出てこない言葉の替わりに蓮を睨みつける。相変わらず笑い続けている男が憎らしい。キョーコは怒りのままにパスタを盛り付けていった。

「からかってごめんね、キョーコ。キョーコが可愛すぎて」

「知りません!!」

出来上がった料理をさっさとテーブルに運ぶ。蓮がその後を付いていき、向かい合ってテーブルに座った。

最初、キョーコは怒って蓮を無視していたが、蓮がにこにこと本当に美味しそうに食べるので、馬鹿らしくなってきたのでやめた。

それを見計らって蓮が尋ねる。

「これは何て言うパスタ?キョーコの耳たぶみたいで可愛いね」

「ブッ!!な、何をおっしゃってるんですか!」

「ん?そう言えば最近舐めてないなあって……」

「ああぁぁ!なんてハレンチなことを言うんですか!」

顔を茹で蛸のように赤くさせ、今にも泣きそうなキョーコを見て、蓮はくすくす笑う。そしてこれ以上他の男にキョーコの可愛い顔を見せたくないな、と呟いて話を戻した。

「このパスタ、変わった形してるね。貝殻みたいだ」

「……そ、そうなんです。このパスタ、コンキリエって言う名前で、まさに貝殻って意味なんですよ」

「へえ~。キョーコはほんと何でも知ってるね。すごいな」

愛しそうに微笑まれ、キョーコは真っ赤になった。心臓がバクバクと激しく音をたてる。

(うぅ~そんな目で見ないで~)

恥ずかしくて堪らない。キョーコは俯いたままパスタを頬張った。

「ごちそう様でした。美味しかったよ」

蓮は本当に美味しそうに作った料理を平らげ、にっこりと笑った。その後二人で並んで食器を片付け、二人で仲良くお風呂…にはさすがに入らなかった。蓮は入りたがったが、キョーコが頑なに拒否したのだ。

「どうしてもダメ……?」

「当たり前です!!」




なんのかんので1週間、キョーコ達は節約生活を楽しく過ごした。目を離すと蓮がすぐ高い食品を買おうとしたり、大事な食材を廃棄したりしようとするので、多少キョーコは苦労していたが、新婚生活を味わえている蓮は、この生活を満喫していた。

今日も今日とて。

「お帰りなさい。お疲れ様でした。御飯出来てますよ」

蓮が遅くなって帰ると、キョーコが笑顔で迎え出てくれた。「ただいま」のキスを頬にすれば、キョーコも恥ずかしがって真っ赤になりながらも「おかえりなさい」とキスを返してくれる。

撮影でなければこのままベッドに直行したいところだが、我慢だ、忍耐だ、と蓮は自分に言い聞かせた。

着替えてテーブルに着けば、節約生活とは思えない程色とりどりの料理が並べてられている。今日はどうやら和食らしい。

野菜の皮を使ったきんぴらを蓮は嬉しそうに食べた。甘辛い味が食欲をそそる。大根の葉だというおひたしも、薄味だが出汁の味がしっかり染み込んでいてとても美味しかった。普段は廃棄されている人参の葉も、キョーコの手にかかれば見事なかき揚げへと姿を変える。

「うん。サクサクしてて美味しいね」

「えぐみはないですか?」

「全然。そういえば昨日、お弁当に入れてくれてたふりかけも人参の葉なんだよね?」

「そうですけど……美味しくなかったですか?」

「まさか。君の作ってくれたものはいつもびっくりするぐらい美味しいよ」

キラキラと神々しい笑顔を見せられ、キョーコは恥ずかしくなり俯いた。付き合うようになってから頻繁にこのキラキラ光線を浴びせられるが、一向に慣れない。ほとんどの怨念キョーコが消滅させられてしまった。

その夜、暗闇の中布団の中で蓮がもぞもぞと蠢いた。

「キョーコ……そろそろしたくない?」

「……ダメです」

「じゃあキスだけでも」

「…………」

キョーコが無視して蓮と離れても、蓮はしつこく背中に引っ付いて離れようとしない。

「ほんとにダメ……?」

囁きとともに首筋に息を吹き掛ける。感じたのか、キョーコの躯がピクリと僅かに震えた。

「ほんとにキスだけだから」

そう囁きながら細い首筋に唇を寄せる。

「………んっ………ふっ……」

キョーコからかすかに声が上がった。あとひと押し。

「いいよね……?」

甘い声で囁けば、ようやくキョーコが振り向いて上目遣いに蓮を見て言った。

「……ちょっとだけなら」

キョーコのお許しをもらい、蓮はいそいそとキョーコを引き寄せ抱き締めた。ほっそりとした肢体は実にたおやかで心地好い。そっと触れるだけの口付けを施し、もう一度彼女の躯を強く抱いた。

「……これだけですか?」

「足りない?」

クスリと笑いながら問われ、今度はキョーコがもじもじを身を捩る。

「でもこれ以上したら……止められなくなるかもしれないよ?」

夜の帝王モードの蓮に耳元囁かれ、キョーコは真っ赤になって固まりつつも、逞しい胸に顔を埋めて答えた。

「……明日の仕事に影響にない程度にお願いします」

「努力するよ」

その後、たっぷり明け方までキョーコの艶かしい声が録音されることになった。




「やっぱり敦賀くん、普通とは違うね」

「さっすがゴージャスター!」

「節約生活なのに烏骨鶏買ってくる人初めてだよ!」

スタジオのメンバーは、流されたVTRを見て蓮のセレブっぷりに大笑いしてさんざんからかった。

「キョーコちゃん、よく立て直したね」

「ほんと、ほんと凄い!」

「俺ならあの時点でやる気なくすわ」

そして次にキョーコを褒め称えた。

「それにしても敦賀くん、ほんと美味しそうに食べるね」

「ええ、もちろん。キョーコの料理はどれも最高に美味しいですから」

「あわわっ!これ以上あてないでよ」

「そうだよ。君達のラブラブっぷりは充分伝わったから!ね、敦賀くん」

「ピンクオーラは禁止だよ。これ以上は目に痛い。君はそうでなくても凄いのに」

「ほんとほんと。放送するんですから、そういうのは二人きりの時にして下さい」

そして皆再び蓮をからかった。むしろ最後はそこを弄るしかない。あんなに幸せそうにキョーコの手料理を頬張っていたのだ。業界で聞いていた蓮の熱愛ぶりは真実だと改めて確認させられた。

もちろんキスや砂吐きセリフ、寝室での音声などはカットされている。

それでもキョーコへの愛情過多な様子は充分窺い知ることができた。放送されればお茶の間にも伝わるだろう。

こうして収録は無事終わったが、スタッフ達には微妙な空気が漂っていた。

放送の都合上、今日は1週間分のVTRしか流されていない。2週目はまだ編集していなかったが、1週目を編集していたスタッフは、この映像は、たぶん放送されないだろうと考えていた。そして一部のスタッフも先にそれを見てそう思っていた。

『今日のこの収録は全部無駄になるかもしれない』

そんな空気だった。

そして収録後すぐ、この分の放送及び、キョーコと蓮の一ヶ月節約生活の企画自体が無くなってしまった。

なぜなら敦賀蓮に節約料理が似合わない、とクレームがきたからだ。どんなにキョーコが美味しそうに調理しても、天下の敦賀蓮が染みったれた料理を食べるなんて見るに耐えない。それがVTRを見た全員の感想だった。

もちろん残りの生活も中止になり、キョーコと蓮の夢の新婚生活も夢のまた夢となる。




「はあ~……。キョーコと早く結婚したいな……」

蓮ががっくりと肩を落として呟く。社は宥めるようにそんな彼の肩をポンポンと叩いた。

キョーコと蓮が一緒に生活できるのは一体いつになるのだろう。

蓮の嘆きはまだまだ続きそうである。





<後書き>
3ヶ月以上もお待たせして申し訳ありませんでした 。大変遅くなりましたがきいろ様へのキリリクSSです。

ラブラブを目指すつもりが、どう考えても蓮には無理だろうと思ってしまい、キョーコに怒られ、罵られ、へこむ蓮しか思い付きませんでした。全然ラブラブしてなくてすみません。改めて私はラブラブ苦手なんだなあと痛感いたしました(笑)。

だいぶ長いこと黄金伝説見てなくて、録画してちらりと見たのですが、雰囲気あってますでしょうか。
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。少しでも気に入って下さる所があれば幸いです。

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