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◎「カニ、食べ行こう♪」
2015年03月07日 (土) | 編集 |
「カニ、食べ行こう♪」




「カニ、好きですか?」


それは唐突だった。

たまたま事務所で会って、久しぶりだね、と声を掛けたら、急に腕を掴まれて人気のない玄関ホールの角に連れていかれた。

で、この質問だ。

「敦賀さんってカニ好きですか?」

「何かな?突然」

「カニ食べたくないですか?」

あんまり必死だったから、俺は素直に答えた。

「カニねえ。うーん…あんまり食べないかなあ。俺あんまり上手く身が取れないんだよね」

「よかったら私がこそげますから、一緒に食べに行きませんか?私こそぐの得意なんです」

願ってもないチャンスだ。好きな女の子からの申し出に、俺はもちろん食いついた。

「ホント!?行くよ、行く!」

「本当ですか?よかったあぁ」

俺の答えに、彼女は本当に嬉しそうに破顔した。

なんてカワイイんだ。無表情、無表情。

「女将さんにカニカニ道楽の食事券もらったの、無駄になっちゃうかと思いました」

「でも俺なんかと一緒でいいの?」

「モー子さん、面倒臭いって一蹴されちゃいました」

琴南さんに感謝だな。今度何かお礼でもしとくか。

まあ、それは次でいいな。肝心のデートだ。行くなら早い方がいいな。

「次のオフはいつ?」

「来週末です。敦賀さんはいつですか?」

「俺も来週土曜なら空いてるよ」

「では土曜日に。楽しみにしてますね!」

「俺も楽しみにしてるよ」

必死で無表情を作り彼女に言った。

俺は小躍りしながら車に戻った。助手席で、社さんが俺に冷たい視線を寄越す。

しまった!社さんを待たせているのを忘れてた。

「遅くなってすみません。ちょっと用事があって……」

素直に謝ると、社さんがはあとため息を吐いた。

「どうせキョーコちゃんだろ?わかってるよ。さっき見たから」

す、鋭い。

「で?なんかいいことあったんだろ?顔、ニヤケてるぞ」

何でもお見通しってことですね。流石です、社さん。

「実はデート、いや、食事に誘われまして」

「キョーコちゃんから!?やったじゃないか、蓮!!」

社さんがまるで自分のことのように喜んでくれる。

「ええ。だから来週の土曜日は死んでも空けておいて下さいね。入れたら一生恨みますよ?」

殺気をこめて睨むと、社さんはプルプル震えながら頷いた。




そして、とうとう彼女とのデートが明日に迫った金曜日の夜。

俺はすでにそわそわしていた。

頭の中で妄想が駆け巡る。

「敦賀さん、はい、あーん♪」

最上さんがこそげてくれたカニ身を差し出す。

「いやん!私の指まで舐めないで下さい」

俺が思わず指に付いた身まで舐めると、いやらしい声を上げた。

「美味しいですか?」

顔を赤らめながらそう聞いてくるから、素直に頷く。もちろん、君の指付きなら尚更美味しいけどね。

俺がそう言うと、彼女はチロリと俺に視線を向け、襟を胸元まで大胆に下げて言った。

「なら、私も一緒にた・べ・て」

ブホっ!

馬鹿か、俺!

自分の妄想に興奮して、コーヒーを噴いてしまった。

最上さんがそんなことしてくれる訳ないだろうが!冷静になれ!冷静に!

ダメだ。

この間から暇があると、くだらない脳内シミュレーションをしてしまう。しかもどれもこれも己の願望ばかりで、現実的でない。

俺……こんなに馬鹿だったかな。

自己嫌悪に陥っていると、最上さんから電話がかかってきた。

「もしもし?どうしたの?」

『あの、すみません。明日のカニの件なんですけど……』

まさか行けなくなった、とか?

「用事でもできた?」

努めて冷静な声で尋ねると、彼女から思ってもいない答えが返ってきた。

『いえ、その…あの……笑わないで下さいね?私、男の人と二人っきりで出掛けるのなんて初めてで、何着て行けばわからないです。モー子さんに聞いても、敦賀さんにでも聞けばって冷たいし。どんな恰好して行けばいいですか?』

初デート……。

そうだ。彼女にとっては人生初のデートなんだ。そして俺にとっても記念すべき彼女との初デート。

舞い上がってたが、それどころかじゃない。

俺も初デートに相応しい恰好しないと。

なんて考えていたのがまずかったのか、黙っていた俺に不安になったのか、彼女の泣きそうな声が聞こえた。

『敦賀さん……あんまり馬鹿な質問したんで怒ってるんですか?』

「あ、ああ……ごめん、ごめん。どんな服がいいか考えてたんだ」

慌ててフォローすると、彼女はホッとしたのか深く息を吐いた。

『カニって汚れるんで、汚れの目立つ服はダメかと思ったんですが、あんまり地味な服も曲がりなりにも芸能人だからダメかなって……』

「脱がしやすい服がいいな」

『は?あ、ああ…脱ぎやすい服ですね。汚れたら着替えられますもんね』

思わず漏れた欲望の声を、彼女は聞き間違えたと思ったのか、いいように解釈してくれた。

「じゃあ、俺も汚れてもいいよう着替えを持っていくよ」

カニの汁じゃないもので汚れてもいいように。

『私もそうします。脱ぎ着しやすさなら……ミニのワンピかしら……』

ミニスカ!

ゴクリと喉が鳴った。

『あ、もうこんな時間ですね。夜遅くにすみませんでした。そうそう、たくさんカニが出るので、お腹空かせておいて下さいね!お休みなさい』

そう言って彼女は電話を切った。

もちろん、何も食べないよ。

君まで食べるつもりで行くから……って、ダメだ。

妄想逞し過ぎだ、俺!

色即是空。色即是空。

せめて彼女と食事をしている時までは我慢しろ!

己の理性が保つことを願いつつ、俺は床についた。

夢でも君に会えるといいな。




翌日。

残念ながら夢に君は現れなかった。代わりに出てきたのは、3メートル以上ある巨大なカニだ。俺はそのカニに、爪で叩かれ最後は押し潰されてしまった。

嫌な夢だ。

それでも、今日は彼女とのデートなのだと思うと、気分は浮かれ、朝からハイになった。

普段はあまり着ないカジュアルな恰好で待ち合わせ場所に向かう。

少し早く来過ぎたため、彼女はまだ来ていない。彼女のミニスカ姿を想像しながら待っていると、半時間程して彼女はやってきた。そして俺の車を見付けるとすぐに走り寄ってくる。

「おはようございます。お待たせしてすみません」

「俺が早く来過ぎたんだ。まだ時間前だよ」

そう言いながらも、俺の視線は彼女のすらりと伸びた脚に向いてしまう。やはりスカートがいつもより短い。

目の保養。目の保養。

「敦賀さんも楽しみで眠れなかったんですか?私も楽しみであんまり寝れませんでした」

隣でそんな可愛いことを言われ、食事ではなく違う場所に連れ込みたくなる。

頭を振って邪念を振り払う。

君が俺の隣にいてくれる。

それだけでこんなにも幸せだ。

しかし楽しい気分もそこまでだった。

店の前に着いて、あの夢を思わせる巨大ガニの看板を見た時から嫌な予感はしていた。

得意と言うだけあって、彼女はすいすいとカニ身をこそいでいく。

「ほんとにカニ身取るの上手いね。カニも久しぶりに食べたけど、美味しいよ」

それだけで止めておけばよかったのに。

「俺も自分でやってみるよ」

そんなこと言わずに彼女に任せておけばよかったのに。

「まだ爪の中に残ってますよ!」

「ぐちゃぐちゃ捻らない!左右に折るだけです!」

「捨てないで下さい!そこも食べられます!」

まるでスパルタ教師のように叱咤され、挙げ句の果ては……。

「もう敦賀さんとはカニ食べに来ません!」

なんて怒らせてしまった。

「はあ~」

初めてのデートに甘い期待をしていた俺が馬鹿だったのか、そもそもデートだと考えたのが間違いだったのか。

どちらにしても、俺はもう二度とカニを食べようとは思わない。

「今度あったらどうフォローしよう」

頭を抱え、俺は一人唸っていた。





<後書き>
昨日は休みだったので、前の部署の同僚と城崎に日帰りでカニを食べに行きました。無類の甲殻類好きな私には天国でした。
ちなみに私はカニと海老の身をこそぐのが上手です。他のは不器用なんですが、これだけは得意です。

で、蓮はカニ得意かなあ~なんて帰りの電車で考えてたら書きたくなってしまいました。キョーコは仲居時代に鍛えられているので問題ないだろうし…蓮は苦手そう。ならキョーコにやってもらいましょうってことでこうなりました。
思いつきで書き出したため、途中、変態蓮が出ばってしまい、軌道修正できず無念にも肝心のカニ食べシーンが書けませんでした。
久しぶりに普通の文章だったため、いつもより時間がかかりました。タイトルはPuffyの曲より。
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