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◎「誘惑ギミック」
2015年03月07日 (土) | 編集 |
「誘惑ギミック」





『それってつまり 敦賀さん 私をどうにかしたいって言ってます?』

彼女の言葉に一瞬ドキリとした。

見透かされているのかと思った。

心臓がドクンドクンと鼓動する音が聞こえる。

試されているのだろうか。それとも解き放っていいのだろうか。だが、今想いを告げる訳にはいかない。だから俺は……。




彼女は貴島に連れられ、俺の前に現れた。まるで知らない女性のように、綺麗にドレスアップされ、腕を組み、腰まで抱かせて。

嫉妬で胸が真っ黒に染まる。余りの怒りにいつもの作り笑いが張り付く。

俺の笑顔に聡い彼女が怯えているのがわかったが、そんなこと、今は気にしていられない。いや、むしろ彼女にも味わってもらわないと。俺の心をこんなに掻き乱してくれたんだから。

他の共演者やスタッフと談笑しながらも、俺は貴島と彼女の話にずっと聞き耳をたてていた。俺が話を聞いているとも知らないで、彼女は群がる男達から寄せられる称賛に頬を染めている。あまつさえ、貴島とお似合いだなんて言われた上に、貴島の「付き合おう」発言にあっさり「喜んで」なんて答えている。

君はその場のノリのつもりだろうけど、貴島は本気だぞ!

そう言いたいのを堪え、俺は関係者にひたすら笑顔を振り撒いていた。彼女の声が聞こえる範囲で、けれど近付き過ぎない間隔を取って。そうしないと今すぐにでも貴島から彼女を引きはがしてしまいそうだったから。

怒りを内に秘めたまま談笑していると、貴島が彼女を占いコーナーへと連れて行こうとしているのに気付いた。やはり貴島は本気で彼女と付き合う気らしく、二人の相性を占ってもらおうとしている。そこで最上さんはようやく貴島が本気なことに気付いたようで、まず固まった。そしてちゃんと断ってくれた。

「誓いを立ててしまっているので……っ」

なんて言って……これは俺が彼女に約束させたこと……なんだろうなあ。

俺が独占欲にかられて無理矢理させた誓いを、彼女は律儀に守ろうとしてくれている。

自然と顔が綻んだ。

まだ飯塚さんが呼ばれたばかりだが、そろそろ邪魔、もとい、助けてもいい頃合いだろう。

「最上さん」

俺がそう呼ぶと、彼女は恐る恐る振り返った。まだ俺が怒ってると思っているようだ。

確かに怒っていたよ。

でも……今は許してあげる。

インタビュー待ちの間、俺は彼女の顔に書いてあった疑問に答えるついでに、無防備な彼女を窘めた。先輩からの注意、なんてかこつけて、彼女が他の男から狙われないように仕向けた。男性関係ばかり諌め過ぎたので慌てて事務所の教育方針なんて取り繕ったが、彼女は怪しみもせず素直に謝罪する。

ほらね。だから君は無防備なんだ。

俺がこうやって君に悪い虫か付かないようにしているのに気付きもしないんだから。

だから……。

彼女に対する独占欲は日々強くなっていく。

彼女に頼られるのは俺だけでいい。

その心根のままに俺は言ってしまった。

「誰に言うより真っ先に俺に言うんだよ?」

俺がそう言うと、彼女は急に口をつぐんだ。

何か俺、妙なこと言ったか……?

自分が漏らしてしまった本音を暴露したことにも気付かず、俺は最上さんを覗き込んだ。

「…最上さん?」

俺が呼び掛けると、彼女はまるで知らない女のような顔をして言った。

「それってつまり 敦賀さん 私をどうにかしたいって言ってます?」

妖艶な微笑みを浮かべる彼女に、俺は自分が何を言ったのか一瞬で理解した。そして……自分の気持ちにストッパーをかける。

「…今すぐ どうにかしてあげようか……?」

敦賀蓮ではなく、「俺」がこう切り返すと、予想通り、彼女は大慌てで俺から逃げていった。

呆れるぐらい真剣に狼狽えた彼女に、俺はため息をつく。

彼女が逃げるのを見越して、彼女の苦手な「俺」を演じた。わかっていたはずなのに苦しい。本当は俺から逃げないで欲しい。けれど今彼女を欲する訳にはいかない。まだ俺にはその資格がない。

だからまだ……。

「…何もしないよ 君には」

そう言って、彼女に言い聞かせるのと同時に自分にも枷を付けた。それなのに……。




「DARK MOON」の特番放送後、彼女の周りが騒がしくなった。彼女の魅力に気付いた馬の骨が爆発的に増えたのだ。おまけに貴島とのことも取り沙汰され、まことしやかに噂されるようになった。

ラブミー部員である彼女がそう簡単に落ちる訳がない。そうは思っていても彼女が男に狙われていると考えるだけでも許せない。彼女のことを他の男が話題にしているだけでも不愉快だ。

俺が不機嫌なのを彼女も感じとっているようで、セツカの姿でも少しびくついている。
理不尽な怒りを彼女にぶつけていいわけがない。そうは思っていても苛立ちを隠すことが出来なかった。

そんな中、映画の主演俳優、村雨がセツカに興味を示しているのに気付いた。最初にきっちり睨み据えてやったのに、奴は怖じけづくことなくセツカに近付いている。

ああ、くそっ!!

今日もまた俺の撮影中を狙い、性懲りもなくセツカに話かけている。

視界の端に映る光景に、俺は怒りを隠せなかった。本当に殺しかねない勢いでスタントマンを引き倒してしまう。

こんなことでは役に飲み込まれる。

ブラック・ジャックをカイン・ヒール、いや敦賀蓮として、演じ切らなくてはいけない。焦りはまた怒りを産む。

セツカと二人でホテルにいてもあまり落ち着くことが出来なかった。

そんな俺に最上さんから電話があった。一緒にホテルの部屋にいるのに。

「どうかした?」

セツカではなく最上さんからの電話だったから、俺もカインではなく敦賀蓮として対応した。

『やっぱり怒ってるんですか?』

「……えっ…………?」

『私が敦賀さんから注意受けたのに、貴島さんと噂されてしまったから……。確かに敦賀さんがおっしゃる通り私が軽率でした』

「も、最上さん……?」

『だから…だから……嫌わないで……』

今にも泣きだしそうに言われて俺は携帯を放り出した。そして簡易キッチンの隅でうずくまる彼女を抱きしめる。

「嫌う訳ないだろう……」

「つ、敦賀さん……」

「俺が君を嫌えるはずないよ。だって俺は……」

君が好きなんだから。

絞り出した声は彼女に届いたようだ。顔を真っ赤に染め俺を見つめている。

「敦賀さん……私、私……」

潤んだ彼女の瞳に俺が映っている。

「敦賀さんが……好きです」

そう言われた瞬間、俺は彼女もう一度強く抱きしめた。そして……




「……っ!」

鳥の声で目覚めた俺はがっくりとうなだれた。

夢か……。

せめてキスくらいしてから起こしてほしいな……。

なんて思っていると隣でもぞりと何かが動いた。

「…セツ……」

俺の横でスースーと寝息をたてるセツカ……。

いつ俺のベッドに潜り込んだ?

昨夜は確かに別々に寝たはずだ。

「う、う~ん……」

寝返りをうったセツカがこちらを向く。開けたキャミソールから胸の谷間と臍がちらりと目に入った。

「~~っ!!」

ただでさえあんな夢を見た直後で興奮していると言うのに!これはなんの罠だ!?それとも罰なのか!?

触れたくて堪らない。強力に締めていた理性のネジが緩んだ。

少し位構わないよね。いちゃラブ設定なこの兄妹ならなんてことない。いつものスキンシップの範囲だ。

社長も撫でる位ならいいってお許しも出してくれているし。

隣で君が無防備に寝ているのが悪いんだよ。

俺は開き直り、隣で気持ちよさ気に眠る彼女に触れた。

どこまでしたか……は歩く純情さんな最上さんに知られたら自害しそうなので言わないでおこう。

カイン・ヒールとしての生活はまだ始まったばかりだ。闇に打ち勝ち、ブラック・ジャックを演り遂げるためにも、セツカにはまだまだ傍にいてもらわないと。

ねえ、最上さん?





<後書き>
蓮視点も書いてみましたが、ちょっと難しかったです。最初、村雨くんは社長の送り込んだ(蓮に発破をかけるための)当て馬にしようと思いましたが、とあるサイトさんで予想以上に面白そうな方だなっと思いやめました。もうちょっと本誌で活躍してからいじってやろう 。
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