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☆◎「君とペット」
2015年03月07日 (土) | 編集 |
「君とペット」





「は?犬役?」

思わず聞き返してしまうほど、それは突拍子もない話だった。

マルチタレント、ブリッジロックのリーダー、俺、石橋光のドラマデビューにして主演、しかも月9だと聞いていたドラマの役の話だ。コントでもギャグでもなく、恋愛物だと聞いていたはずなのに……。

「ギャハハハ!リーダー笑える。犬だって、犬!」

「ある意味似合ってるんじゃない?」

雄生たちが後ろでゲラゲラ笑っている。

完全に面白がってやがる……。

ガルル…と威嚇すると、「ぴったりじゃん」とさらに大笑いされた。

はあ~。せっかく少しでもあの娘に近付けると思ってたのに。犬かよ……。犬じゃ釣り合わないじゃないか!

あの娘――俺の想い人――同じ事務所の後輩京子ちゃん。

タレントだけど女優としてめきめき才能を発揮し、今やドラマに映画にと引っ張り凧だ。四つ年下だけど俺よりしっかりしてて、タレントやスタッフに気遣いのできる、礼儀正しい凄くいい娘なのだ。

最初は可愛いなあと思っていただけだけれど、女優として頭角を表しだした時ぐらいからこちらがびっくりするぐらい色っぽい表情をするようになってきた。あれに悩殺されて以来、どんどん好きになってしまった。最近では綺麗になって、なんか近寄りがたくなっている。

もともと始まりがただの着ぐるみで、その上女優業が忙しいせいか、あんまりバラエティーに出なくなってきたから、俺との接点がますます少なくなった。

寂しいなあ、もっと逢いたいなあと思っていたら、このドラマの話だ。

これでもっとドラマの仕事がくれば彼女に会える。今よりもっと近付ける。

そう思ってたのに……。

しゅんとした俺をマネージャーが叩く。

「違うわよ。話をよく聞きなさい。犬役っていっても、普通の人間よ。ただ中に犬が入ってるって言う設定なだけ」

「犬が入ってる?」

「そう。詳しくはまたプロデューサーから話して下さるけど、事故で犬と人の魂が一緒になっちゃうのよ。で、器は人間でも中身は人間と犬で共有してるって訳」

まだよくわからないが、つまり犬役じゃないけど、中身が犬ってことは犬っぽい行動をしなきゃいけないってことなのだろうか?

それってやっぱり犬ってことじゃないのかなあ。




三日後、プロデューサーとの顔合わせでそれがよくわかった。

俺の役は主役の一人で、車で轢かれそうになったところを犬に助けられる。犬は死んでしまい、飼い主は哀しみ、俺を憎しむのだが……。

ちなみにその飼い主がもう一人の主役、このドラマのヒロインだ。

飼い主が犬を恋しがると、死んで犬が俺に憑依し、まるでほんとの犬のような行動を取って彼女を慰める。やがて二人は恋に落ち、犬の魂は天国へ召されるというストーリーらしい。

ヒロインは一体どんな子がやるんだろう……足を引っ張らないようにしないと。

プロデューサーは内緒だと勿体振って教えてくれなかった。

「そんなに焦らなくてもすぐわかるよ。ちょうど彼女も今日ここにくるから」

「俺、ドラマ初めてなんで緊張してるんですよ。NG連発したら申し訳ないなあって」

「まあ相手がいいから、うまくのせてくれるよ。それに同じ事務所だし……大丈夫、大丈夫」

同じ事務所?

うまくのせてくれるってことはよっぽど上手い女優さんなんだろうなあ。誰だろう……。

そう思って、台本に目を通しながらヒロインが来るのを待っていると、コンコンとノックする音が聞こえた。

「着たみたいだ」

プロデューサーがいそいそとドアを開けに向かう。そして、開けたドアの向こうには……。

「遅れてすみません。京子です。よろしくお願いします」

きっちり90度に腰を曲げて挨拶するキョーコちゃんがいた。

「キョ、キョーコちゃん!?」

俺がびっくりして声を上げると、キョーコちゃんはふわりと微笑んだ。

ああ、その顔にノックアウト。可愛い過ぎるよ!

「これからよろしくお願いしますね、光さん」

彼女が俺にそう言ったので、プロデューサーは「なんだ、知り合いなら何の心配もいらないな」と笑った。

笑い事じゃない。

目の前に彼女が座るだけでドキドキして、とても普通に話なんかしていられない。頭が真っ白になって、何も入ってこないから、せっかく犬役の詳細を説明してもらっているのに、全く無駄になってしまった。

このままじゃドラマ撮るどころじゃないよ!初のドラマ出演だってのに……。

プロデューサーが出ていった後、内心頭を抱えていると、キョーコちゃんが隣に腰を降ろした。

「な、何!?どうしたの!?」

ち、近い、近い!!

情けなくも声が震える。

「光さんって犬飼ったことありますか?」

「……へ?な、何?」

「ペットに犬を飼ったことないですか?」

「ないなあ。なんで?」

「いえ、犬の行動とか詳しいかなあって……あっ、そうだ! 光さん、よかったら一緒にドッグカフェにでも行きませんか?」

「ドッグカフェ?」

「はい!犬と一緒に入れて、犬を飼ってない人でも犬と遊べる、可愛いカフェなんです!」

キョーコちゃんが楽しそうに瞳を輝かせて言う。

「私も犬って飼ったことないから…ちょっと観察しようかと思って調べたんです。自然な接し方も体験できるかなあって」

やっぱり真面目だな……俺なんてただあたふたしてただけなのに。

己の不甲斐なさに情けなくなる。役作りなんてしたことないし、とりあえず台本だけ読めばなんとかなると思っていた自分が恥ずかしい。

「キョーコちゃん、やっぱり凄いなあ。そんなこと、俺考えつかなかった。尊敬するよ」

素直にそう言うと、キョーコは「そんなことないです」と照れた。

本当に一生懸命で真面目だ。可愛いと心から思う。

「光さん、いつにしますか?ドッグカフェに行くの」

「えと……どうせなら休みの日がいいよね」

「そうですね……それに撮影始まる前の方がいいでしょうし……。」

「読み合わせが今度の月曜日だから……えと、光さんはいつがお休みですか?」

頭の中で自分の予定を思い起こしてみたが、俺のスケジュールは基本的にマネージャーが管理している。来月の予定は聞いているが、今月の休みは把握していなかった。

突発的な仕事が入っていなければ、先月に聞いた予定が変わらないはずなんだけど……。

「んー……ごめん。次の休み、一応マネージャーに確認してからでもいい?」

休みだと思ってうっかり約束して、後で断るぐらいなら、今約束しない方がいい。

「わかりました。じゃあ、光さんの休みが確定してから行きましょう」

俺の返事に、キョーコちゃんはにこりと笑ってそう返してくれた。

よかった。

『それなら私一人で行きます』

なんて言われなくて。

キョーコちゃんと別れた後、俺は慌ててマネージャーに電話した。早くいつが休みか知りたい。

でもマネージャーは出なかった。そういえば今の時間は慎一のインタビューに付き添っているはずだ。あいつが迂闊なことを言わないようにじっと見張っているのだろう。

ここはマネージャーが一人になる時間にもう一度かけた方がいいだろう。万が一、慎一に聞かれでもしたらやっかいだ。。おしゃべりなあいつのことだから、即行、雄生にしゃべって二人がかりでからかわれるに決まっている。

「はあ~、待つしかないな」

携帯電話を閉じ、俺はもらった台本を読むことにした。




読み合わせのあったその週の木曜。

俺は渋谷にいた。待ち合わせは11時半だけれど、11時前にはそこに着いてしまった。

どれだけ楽しみにしてるんだよ、俺!

うわっ!?そういえばこれってデート?デートだよな?

そう考えたら急に緊張して心臓がドキドキしてきた。熱くなった顔を冷ますように両手を頬に当てていると、すぐにキョーコちゃんが現れた。

「お待たせしてすみません!」

パタパタと走り寄ってくる彼女は、淡いピンクのミニワンピースにレギンスを合わせている。女の子っぽい可愛い小花柄が彼女によく似合っていた。

「ごめん。俺が早く来ちゃったんだ」

時間はまだ11時を少し過ぎた所だ。彼女も楽しみにしてくれていたのだろうか。そうだといいな。

「ここから歩いてすぐなんです」

ふわりとスカートを翻し、キョーコちゃんはゆっくりと歩いて行く。俺と並んで。

まるで夢みたいだ。

手を繋ぎたいなんて贅沢は言わない。今は彼女の隣にいれるだけで幸せだから。

彼女の言った通り、目的のカフェにはすぐ着いた。

ログハウスのような雰囲気のある可愛らしいお店だった。店に入るとすぐ、ちっこい犬がまるで俺達を歓迎するかのように嬉しそうに走ってくる。

「かわいー!!トイプードルですよ、光さん!」

見て下さい!とキョーコちゃんが嬉しそうに俺を見る。

可愛いよ!無茶苦茶可愛い!君が!

彼女を直視できない俺に、今度は別の犬が奥から出てきて飛び掛かってきた。

重い!

見た目に反して意外と重いそいつは、どうも俺を気に入ったらしく、一生懸命尻尾を振っている。

「光さん!今光さんに寄りかかっているのが、ドラマに出てくるのと同じわんちゃんです。コーギーのカイルくんですって!ね、カイル!!」

キョーコちゃんがそう呼ぶと、カイルは嬉しそうにわんと吠えた。

それから俺達は奥のフリースペースでカイルと遊ぶことになった。

キョーコちゃんは極自然にカイルや他の犬と戯れている。飼ったことがないはずなのにな……。

正座した彼女の膝の上に頭を乗せ、カイルは気持ちよさげに頭を撫でられている。

ひざ枕……。いいなあ。

でも……やっぱり俺にはあんなの無理ー!できないったらできなーい!

自分がキョーコちゃんにひざ枕される姿を想像して、鼻血が出そうになる。

今度はちっこい犬が彼女の膝に乗り上げた。

うわっ!舐めた!あの犬、キョーコちゃんの顔舐めてる!

う、羨ましい……。

あっ!でも……俺も犬役になったらキョーコちゃん舐めてもいいかなあ。それはオイシイよな。
「ぐえっ!」

不埒な俺の考えを読んだのか、まるで制裁を与えるかのようにカイルが突進してきた。

「ひ、光さん!?大丈夫ですか?」

心配そうにキョーコちゃんが俺を覗き込む。

ああ……。今は君のその瞳が辛い。そんな純真な目で俺を見ないで。

俺、こんなんで犬になれるのかな……。

俺の不安をよそに、月曜ドラマ『君とペット』の撮影はクランクインを迎えた。





<後書き>
薔薇姫様にずっと待たれていた光SS第一弾。途中までしか出来ていなかったのを見つけ、やっと続きを書いてあげることができました。
ドッグカフェっていうか犬カフェというか。大阪のしか行ったことがないのですが、店のモデルは東京の同僚よくいく普通のドッグカフェです。そこは看板犬がいるだけで遊べないですけどね 。
変態光。頑張れ光。相変わらず劇中ドラマは書けません。
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