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☆◎「クーとクオンとキョーコと蓮と」
2015年03月08日 (日) | 編集 |
「クーとクオンとキョーコと蓮と」





CMで最上さんと共演することになった。久しぶりに彼女に逢える。俺は朝からそわそわしていた。人目がなければ鼻歌でも口ずさんでいたかもしれない。

それぐらい彼女と逢えるのが楽しみだった。

「DARK MOONの打ち上げ以降会ってないからっていって羽目を外すなよ」

「心配しすぎです。だいたい仕事場で羽目なんて外しようがないですよ」

社さんにそう言ったものの、浮かれているのは隠しようもない。

ハンドル捌きも軽やかに、スタジオへと急ぐ。いつもなら何とも思わない信号待ちも、今日はやけに長く感じる。

早く青にならないかと歩道に目をやると、見間違えようもないド派手なピンクつなぎが視界に入ってきた。

慌てて左側へ寄り、クラクションを鳴らす。するとピンクつなぎが振り返り、彼女――最上さん――は俺の車を見付けると、笑顔になり走り寄ってきた。

「おはようございます、敦賀さん!」

「君も今からSスタジオだよね?早く乗って」

彼女が後部座席が乗り込んだのを確信し、俺はすぐに車を発進させた。

「ありがとうございます。助かりました。」

「どうせ同じ所に行くんだから気にしないで」

俺がそう言うと、最上さんはほわりと嬉しそうに笑った。

ああ、可愛いな。

口元が緩みそうになったが、隣で社さんニヤニヤ嫌な笑いを浮かべていたので我に返った。

「敦賀さん、今日はよろしくお願いします」

ミラー越しに最上さんがお辞儀するのが見えた。社さんが居なければ……。

「そういえば、最上さん、今日はこの撮影終わったらまだ仕事?食事にでもいかない?」

「すみません。今日はちょっと……」

「バイト?」

「いえ……。えと…実は今夜、と、と、父さんが来るんです。なんか逢わせたい人がいるらしくって……」

相変わらず、素の状態で俺の父親を父さんと呼ぶのが照れくさいらしい。将来的にはずっと呼んでもらうことになるんだけどな。

……て、そんなことは今はどうでもいい。

父さんが来るって!

聞いてない。聞いてないどころか逢わせたい人がいる?

まさか俺じゃないだろうし…母さんか?

しかしそれならマスコミがすでに騒いでいるはずだ。父さん一人ならお忍びで来日するぐらい造作ないが、母さんを伴うとなればそう簡単ではない。あの人にはお忍びで来日するなんて芸当到底無理だ。

だとしたら誰だ……?

さっぱり検討がつかない。社長に探りを入れたい所だが、からかわれるだけなのがオチだ。

「そう…。ミスターヒズリがね。俺も是非お会いしたいな」

ここは彼女と一緒に父さんに会うのが手っ取り早い。そう思って俺が言うと、彼女は目をキラキラ輝かせた。

「本当ですか!?嬉しいです。実は一人だとちょっと心細かったんです」

「どうして?彼とは親しいんだろう?」

「いえ…父さんが目一杯着飾ってこいっておっしゃるので…逢わせたい人ってどんな凄い男性かなって……」

男性……ということはやはり母さんじゃない。着飾ってこいってどういうことだ?

「ミスターヒズリからは何も聞いてないの?」

「はい。ただ男性としか……」

「ところで、俺も本当に行っていいの?」

「はい。社長の別宅だから誰でも連れてきていいっておっしゃったので。よかったあ。これでお休みのモー子さんをわざわざ呼び出さなくてすみます」

ありがとうございます、と彼女は丁寧に頭を下げた。

社長の別宅ということは、あの二人で何か企んでいることは間違いない。

社長が絡んでいるとなれば、俺が今日彼女と逢うことぐらい簡単にわかったはずだ。そしてこの相談を受けるのを見越して同伴者を許したに違いない。

一体、何を企んでいる?

彼女に紹介したい男性って誰なんだ?

CM撮影の間中、俺の頭はそのことだけに支配されていた。

先に自分の撮影を終えた最上さんは、社さんに伝言を残して帰ってしまった。

『着替えを借りに事務所に行きます。敦賀さんが来て下さるのを待ってます』

彼女からのメッセージに、俺は心を入れ替え撮影に集中した。




撮影が終わるとすぐ、俺は社長の別宅に向かった。最上さんはもう来ているだろうか。

明るい玄関ポーチにたどり着くと、淡いピンクのイブニングドレスに身を包んだ女性が佇んでいた。

「最上さん……?」

振り向いたのはやはり最上さんだった。いつもより大人っぽい雰囲気に、知らない女性のようで緊張してしまう。

「敦賀さん!来て下さったんですね!」

「遅れてごめんね」

「いえ、来て下さって嬉しいです」

満開の笑顔に、そのまま連れ去りたい衝動に駆られた。

俺が必死に欲望を押さえ込んでいると、荘厳な玄関が開き、中から執事服の男が出てきた。

「いらっしゃいませ、最上様。敦賀様も。旦那様からお伺いしております。ヒズリ様がお待ちなっておいでです」

その男がにこやかに笑い、俺達を中へと促す。

中はやはり、社長の別宅に相応しいどこかの宮殿のような雰囲気だった。天井にぶら下がっているシャンデリアに圧倒され、俺と最上さんはその場で立ち止まってしまう。

「さすが社長……」

「お二人ともこちらです」

案内された応接室にはすでに誰かが待っていた。

何ヶ月か前に見た、見覚えのある背中がソファーの向こうにちらりと見えている。

最上さんも気付いたようで、そちらにパタパタと走り寄っていく。

「父さん!!」

最上さんが大声で呼ぶと、懐かしいがゆっくりこちらを向き、彼女を見咎めると破顔した。

「父さん、久しぶりだね!」

ここにきてもまだクオンにならないと呼べないのか、彼女は男の子っぽい仕種で父さんに抱き着く。

「だから別にクオンにならなくてもいいんだぞ」

父さんは笑って最上さんのおでこを小突いた。

「だって……」

照れ臭そううに下を向きつつも、彼女の表情は少し嬉しそうだった。

「それにしても久しぶりだな。敦賀くんも」

「お久しぶりです」

俺が軽く会釈すると、父さんはすぐに最上さんに向き合い、引き寄せた。未来の義理の親子の仲がいいのは結構な話だが、仲が良すぎるのも問題だ。

「キョーコ、いじめ役はうまくいったのか?」

「うん!父さんのおかげだよ!」

「そうかそうか。お前ならやれると思っていたぞ」

「ミスターヒズリ。そろそろそちらの可愛いお嬢さんを紹介していただけませんか?」

偽親子のいちゃつきに、ギリリと奥歯を噛んだ時、窓辺に佇んでいたもう一人の男がこちらにやってきた。

「あの……父さん?」

「ああ、紹介しよう。こちらはアルヴィ・クオン・カートラ。北欧のとある国の王子だ。クオン、この娘はキョーコ。日本で女優をしている」

「王子様?」

「王子?」

俺と最上さんは同時に声をあげた。

しかもクオンだって?

「あの、父さん……?」

「王子役で悩んでいるんだろう?雰囲気が掴めないそうじゃないか」

「なんでそれを……?」

「ボスに聞いた。で、ちょうどこのクオンが日本に留学するって言うからついでに連れてきたんだ。彼に王子としての立ち振る舞いを教わるといい」

「よろしく、キョーコ。君もクオンって呼んで下さいね」

クオンは彼女の前で片膝をつくと、彼女の手を取り、その甲に口付けをした。




クオンという男は、確かに昔の俺をそのまま大きくしたような、中性的で穏やかな雰囲気を持つ金髪の美しい青年だった。彼女のイメージするコーンに近いのだろう、まるで夢見る乙女のようなキラキラした瞳で彼を見つめている。

俺は思わず、窓ガラスに映った今の自分の姿を確認してしまった。そして変貌した自分に落ち込んだ。

二人は今仲良く王子様ごっこをしている。

どうも最上さんは養成所でやる舞台で王子を演じるらしく、それがうまくいかなかったそうだ。それで本物の王子に学ぼうというのだ。

「はあ~」

「ずいぶんなため息だな」

二人の様子を遠目で見ていた俺に、父さんがニヤニヤと笑いながら近付いてきた。

「何を企んでいるんですか?」

「酷い言い草だな。別に何も企んでないさ」

嘘なんてつかない、なんて顔をして彼は平気で嘘をつく。

「見え透いた嘘はつかないで下さい」

「失礼な!何も企んでなどいない。ただ俺は可愛い息子の力になりたいだけだ」

息子?まあ確かに、今最上さんはクオンになりきっているから息子だよな……。

しかし……。

ジロリと父さんを睨むと、彼は余裕たっぷりに微笑んだ。

勝てないな……。

諦めて窓の外を眺めていると、ふいに背後に気配を感じた。

振り向けば、クオンがいつの間にか俺の後ろに来て俺を見ている。

「さっきは挨拶もせず失礼したね。僕はアルヴィ・クオン・カートラ。君は?」

「敦賀蓮です」

「そう……よろしく、蓮。仲良くしてね」

にこやかに差し出された手を握ると、意外と骨張った男っぽい手をしている。俺は何故かすぐにその手を外してしまった。

「皆さん、食事が出来たそうですよ!」

ちょうどその時、最上さんが俺達を呼んだ。

「お前たち、行くぞ!」

「ミスターヒズリ、僕の分まで食べないで下さいね」

父さんが我先にと食堂へ走り出した。俺とクオンはその後ろをのんびりて歩く。階段に差し掛かった所でクオンが不意に俺との距離を縮めてきた。

『魅力的で可愛い人だね』

英語で囁かれた言葉に、俺は目を見張った。

驚いて振り向いた俺の目に映ったのは、一人の男。彼は今までの天使のような笑顔から一変、獲物を狙う男らしい顔付きになった。

『クーには狙うフリでいいって言われたけど、本気になろうかな……』

俺に向かって挑発的に笑う姿はもはや天使のかけらもない。

『君、まだ彼女には何も言ってないんだろう?だったら僕が彼女を貰っても……』

『彼女は渡しません。彼女は…彼女は俺の大切な女性です。貴方には渡せません』

俺がきっぱり言い切ると、クオンは一瞬呆気にとられたような顔になった。しかし次にはその雰囲気を変え、フッと微笑んだ。

『だったら早く告白したらどう?早くしないと彼女、僕以外の誰かに掻っ攫われるよ』

クスクスと笑いながら告げられ、やはり謀られたのだとわかった。

『色々抱えてるみたいだけど、大丈夫。彼女なら君の全てを包み込んでくれる』

『どうして……』

『なんでかな?彼女には僕の母と同じようなオーラを感じるんだ。温かくて優しい女神のような雰囲気がね』

そう言って優しく笑うと、クオンは頑張れよ、と俺の肩を叩いて食堂へ入っていった。

「まいったな……」

俺はその場でうずくまると、重い息を吐き出した。





<後書き>
美羽ちゃんからのリクエスト。クーが出てきて蓮が嫉妬する話がみたいとのこと。
頑張ってみました。
少しでも彼女が笑ってくれるように願いをこめて……。
クーが言った息子は、もちろん蓮のことです。
クオン王子はフィンランド系ってことで。当て馬にしてはすぐばらしちゃうよい子なんです。腹黒ですけど(笑)。
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