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◎「シンデレラ」
2015年03月10日 (火) | 編集 |
「シンデレラ」





地味で色気がなくて芸能人としての華がない。

素のキョーコを評する人はこぞってそう言った。けれど一度、女優として役に入り、メイクを施されたのなら、その評価は一変する。

「ほんと、メイクさんって魔法使いみたい。私まるでシンデレラになった気分なのよ」

「はあ?」

鏡の前で興奮ぎみに話すキョーコに、隣の少女は呆れ果てた。

相変わらずメルヘン思考で、恋に関して以外は夢見る乙女そのものだ。

「だからね。モー子さんはそりゃあ普段から美人だけど、私なんてはっきり言って平凡じゃない?でもメイクさんの手にかかれば、あっという間にこんなお姫様みたいにしてくれるんだもの」

「はいはい。よかったわね」

「もー!モー子さんってば真剣に聞いてないでしょう!意地悪!」

キョーコがぷんぷんと怒っていると、二人を担当しているメイクの女性が笑いながら会話に入ってきた。

「そう言ってもらえると嬉しいわ。でも京子ちゃんって、もともと顔が整っているから綺麗に仕上がるのよ」

その言葉に顔を真っ赤にして、キョーコはブンブンと勢いよく首を振る。

「そ、そんなことないです。私ごとき恐れ多い」

「でも京子ちゃんがシンデレラなら王子様は大変ね」

「へ?どうしてですか?」

「だって京子ちゃん、せっかく王子様がガラスの靴を持ってきても、履かずに逃げちゃいそうなんだもの」

「その前に追い返すんじゃないの」

「それは有り得るわね。ふふふ」

二人に言いたい放題言われて、キョーコはむうっとふくれた。

(そもそも私は王子なんかと踊らないわ!誰が王子なんかと……)

綺麗な衣装に身を包み、メイクをバッチリ決め、美しく変身することに憧れても、恋に恋することはない。

もう二度と思い出したくもない過去の過ちが甦り、キョーコは苦虫を噛んだ。




その夜、キョーコはお城の中にいた。

小さい頃、絵本でみたような美しい白亜の城だ。明かりの灯る階段を昇れば、着飾った男女がダンスに興じている。

ふと自分を見ると、宝石をいくつもちりばめた白く輝くドレスを纏っていた。首から胸元にかけては大粒のダイヤをあしらったネックレスがぶら下がっている。

(すごい!私、お姫様みたい!)

興奮してしげしげ自分を観察していると、ふいに廻りが静かになった。

「美しい姫君、一曲踊っていただけませんか?」

キョーコの前に突然現れた長身の男が、優雅に手を差し出しダンスに誘う。

「つ、つ、敦賀さん!」

「敦賀?俺はクオン。ひどいな、他の男と間違えるなんて」

「へ……?クオン?今クオンって言った?」

「そうだよ。自分の国の王子の名前も知らないの?」

君って変わってるね、などと言われ、キョーコはますます訳がわからなくなってしまった。

(王子って言った?しかもクオンですって?でもどう見ても…敦賀さんよね?)

とまどっているキョーコなどお構いなしに、クオンは再び手を差し出す。

「さあ、姫。参りましょう」

恐る恐るその手を取ると、クオンに誘われ、キョーコは広間の中央まで連れて来られてしまう。

すると間もなく優雅なワルツが流れ出し、クオンがステップを踏み出した。それにつられてキョーコもワルツに踊る。ワルツなんて踊ったこともないはずなのだが、キョーコはクオンにリードされ、華麗に舞った。

周りはざわめき、中央の二人に刮目する。

(なんでこんなことになってるの?嫌な感じ~)

キョーコは踊りながら、自分に絡み付く視線に辟易していた。嫉妬という悍ましい感情のこもったそれには嫌と言う程覚えがある。

そんなキョーコに気付くこともなく、クオンは優雅にステップを踏み、キョーコを見て優しげに微笑んだ。

「凄く綺麗だ」

「は?ああ…このドレスことですか」

「違うよ。君のこと」

「へ?」

「本当に綺麗だよ」

「はあ?」

言われ慣れない言葉に、キョーコは思わず間抜けな声を出してしまった。

その声と表情を見て、クオンは笑った。今までにないキョーコの反応が無性に可笑しかったのだ。

「いい反応だね。気に入ったな。君、名前は?」

「な、名乗る程の者でもありません!」

「教えてくれないの?」

キョーコはブンブンと思いっきり首を振る。

「だったら……」

『教えたくなるようにしてあげようか?』

突然引き寄せられ、耳元で囁かれた言葉にキョーコは戦いた。

「ひっ!ひいぃぃ!」

夜の帝王モードで妖しい笑いを浮かべるクオンの手を慌てて振りほどく。

「クスクスクス…そんなに怯えなくてもいいのに」

キョーコのそんな様子に、クオンは楽しそうに笑った。

「か、からかわないで下さい!」

「からかってなんかないよ。それより……本当に名前、教えてくれないの?」

キョーコがこくこく頷くと、クオンはようやく諦めた。

「まあいいよ。それなら勝手に呼ばせてもらうね。そうだなあ……シンデレラなんてどうかな?」

「シンデレラ?まあ、いいですけど……」

「じゃあ、シンデレラ、よく聞いて。俺、今夜のパーティーでお嫁さんを探してるんだよね」

「は、はあ……」

「俺は君が気に入った。だから、俺の……」

クオンの言葉を遮るように鐘の音が鳴る。

「ああ、もうこんな時間か。仕方ない。シンデレラ、君この後俺の部屋に寄ってくれないかな?」

「よ、用事がありますので失礼します!!」

そう言って、キョーコは振り向くことなく一目散に走り去っていった。

クオンがすぐにその後を追い掛けたが、すでにキョーコの姿は見えなかった。ふと下を見ると、キラリと何かが光る。

階段に靴が片方だけ落ちていた。

クオンはその靴を拾い、ニヤリと口角を上げる。

「絶対逃がさないよ」

妖しい微笑みを浮かべた彼を、月だけが見ていた。




王宮から飛び出たキョーコは、あてどもなく走り続けた。途中、靴が片方ないことに気が付いたが、止まれば捕まってしまうかもしれない。そう思って、キョーコは走り続けた。

しばらくそうして走っていたキョーコだったが、喉の渇きを覚えて立ち止まると、ちょうどすぐ傍に噴水が見えた。キョーコはなんとかそけまで行き、喉を潤す。その横にハシバミの木があり、それにもたれて座り込むと、疲れ果てていたキョーコはそのまま眠ってしまった。

気が付くと、キョーコはどこかの床で寝ていた。

(どこ、ここ?まだ夢……?)

ムクリと起き上がるキョーコの目に入ったのは、古い台所のようだった。

とりあえず身体に付いた汚れを掃い、そこから出る。

壁が剥き出しで、電化製品などが見当たらない。なんだか昔の家のようだ。

ぐるりと部屋を見渡していると、背後から声をかけられた。

「キョーコちゃん、おはよう」

「……?おはようございます、ショウコさん」

ここがどこかも、なぜショウコがここにいるのかもわからない。おまけに自分も彼女も質素で地味な服を着ている。昨日のドレスはどこにいったのだろう。

ショウコに聞けば何かわかるかもしれない。

キョーコがそう思ってショウコに近付くと、向こうのソファーに人影が見えた。

その人物は、優雅に足を組んでいる。そして振り向いて、偉そうにキョーコを呼んだ。

「おい!キョーコ、俺様のプリンはちゃんと買って来たんだろうなあ!」

「買う訳ないでしょ、馬鹿ショー!!」

キョーコは不可解な状況にも関わらず、ショータローに対し、いつも通りに反応してしまった。

「なっ!?てめー、キョーコ!」

「キョ、キョーコちゃん?」

普段は従順なキョーコが初めて口答えしたので、一体どうしたのかと、ショータローもショウコも驚いてキョーコを見た。

そこへ、ミモリが二階から降りて来てショータローに纏わり付く。

「おはよう、ショー兄様。ショウコ姉様。どうかしたの?」

「どうもこーもねーよ。キョーコの奴、夕べ俺が頼んだプリンを買ってきてねーんだよ」

「ショー兄様、プリンないの?ならミモリが買ってきてあげる♪」

ミモリはうきうきと楽しそうに言い、ショウコに財布を預かり出て行った。

ミモリを送り出したショウコは、キョーコの顔をじっと見詰める。

「キョーコちゃん?大丈夫?今日おかしいわよ。具合でも悪いの?」

「いえ、別に……」

「そう?ねえ……もしかして昨日、私達が王宮に行っている間に何かあった?」

王宮という言葉に、キョーコはピクリと反応した。そして慌てて首を振る。

「何もないです!」

「なら言いんだけど……」

ショウコはまだ納得がいかないようだったが、それ以上尋ねてくることはなかった。

とてもじゃないがこの状況で「ここはどこですか?」なんて聞けない。

一体どうしたらこの事態を打破できるのか。

キョーコは台所に篭り、ため息を吐いた。

(これって夢よねえ?いつ覚めるの?)

そこへ勢いよくミモリが帰ってくる。

「ショー兄様~。はい、プリン!」

「でかした、ミモリ」

ショータローに褒められ、ミモリは満面の笑みを浮かべた。

「ミモリ、えらく速かったのね」

「そうなの、姉様!姉様知ってる?今、街に殿下の遣いの方がいらしていたのよ!」

「ええ、さっき聞いたわ。なんでも…夕べのダンスパーティーでクオン殿下が見初めた少女をお捜しになっているらしいとか」

「そうなの!なんかその子が落としていった靴を国中の娘に履かせるとか……」

「靴……」

台所の奥でキョーコはギクリと肩を強張らせた。

「ミモリはショーに張り付いてたから知らないわね。昨日パーティーで殿下と踊る素敵な方がいらしたのよ。きっとその方をお捜しになっておられるのね……」

ショウコの言葉に嫌な予感がした。キョーコはぶるりと躯を震わせる。

(嫌~っ!私のことよね?どうしよう~)

キョーコの困惑をよそに、ショウコとミモリは楽しげに話を続ける。

「きっとどこかのご令嬢よ。殿下とのワルツはとても素敵だったもの」

「でもこんな下町来てるんならそうでもないんじゃない?」

「あら……じゃあその靴が履けたら玉の輿に乗れるわねえ」

「ショウコ姉様ならいいのに。私はそんなの興味ないし。私には兄様だけいればいいんだもん」

そう言って、ミモリはショーに抱き着いた。

そこへコンコンと玄関を控えめに叩く音がし、眼鏡をかけた青年が開いていた扉の向こうに現れた。

「失礼。開いていたものですから……」

「ミモリ、あなたまた閉め忘れていたのね」

「ごめんなさい、姉様。だって慌ててたんですもの」

「あの…どちら様ですか?」

「私は社と申します。クオン殿下の遣いで参りました」

ショウコとミモリは顔を見合わせ、慌てて居住まいを正した。ショーは相変わらずソファーで一人踏ん反り返っている。

焦ったのはキョーコだ。

(ひえーっ!に、逃げないと!!)

なんとか社の目をかい潜り、家から出られないかと裏口を探したが見つからない。代わりに見付けたのはなんと昨日履いていた靴の片方だ。

(な、なんで片割れがあんな所に!)

こんな物が見付かれば、あの男に捕まってしまう。

キョーコは焦って、台所の窓からそれを放り投げた。

キョーコが証拠隠滅している間に、ミモリとショウコはどうやら靴を履き終えたようだ。二人とも合わなかったため、社がキョーコを呼ぶ。

「そちらのお嬢さんもどうぞ」

「い、いえ…私いいです!」

「そんなことおっしゃらないで。国中の娘に履かせろと、殿下からの命令なんですから」

「さっさとしろよ、キョーコ!どーせてめえには絶対履けないんだからよ」

ショータローの声にもキョーコは頷かない。

「い、いりません!そんなもの履きたくありません!」

キョーコは頑なに拒否したが、社は逃さない。

「キョーコちゃん、ごめんね。仕事だから……」

そう言って、逃げようとするキョーコに無理矢理靴を履かせようとした。

しかしキョーコもなんとかして社から逃れようと暴れ、結果、二人の間でちょっとしたが争い起こる。

「俺から逃れようだなんて甘いよ、シンデレラ」

そこへ一人の青年が颯爽と現れ、微笑みを浮かべそう言った。

「で、殿下!」

「げっ!」

格闘する二人の前に現れたのは、なんとクオンだった。

「社さん、靴はもう履かせなくていいですよ」

「へ?」

「彼女が俺の一目惚れした相手です」

「「「「「はあっ!?」」」」」

クオンの言葉に、その場にいた全員の声がハモった。

「ちょ、ちょっと、キョーコちゃん、どういうこと?」

「なんでキョーコが王子と!」

「キョーコに一目惚れだとお!」

ショウコはキョーコに問い、ミモリとショーは驚愕に口をポカンと開けた。

もっと驚いたのはキョーコだ。口をはくはくさせて、クオンを指差し、固まっている。

「今、この家から夕べの靴の片方が落ちてきてね。で、中に入ると君がいたんだ、シンデレラ。いや、キョーコ姫」

にこりと爽やかに笑うと、凍り付いているキョーコに近付いて、その手を取った。

そして彼女の瞳を見つめて言う。

「どうか私と結婚して下さい」

クオンは跪いて、キョーコの手の甲に口付けた。

「いーやーっ!!」

これ以上ないほど大きなキョーコの絶叫が響き渡った。




「…………」

自分の声に、キョーコはようやく目を覚ました。

「あ、悪夢だわ……」

大量の汗をかいている。

夢だとわかっていたが、本当に夢で心底ホッとした。

「ああ~怖っ!シンデレラなんか、絶対なりたくない!」

悪夢を拭い去るように、キョーコは頭をプルプル振る。あんなのは夢だ。現実じゃない。そう思うことにしたはずなのだが……。

その日、キョーコは一日挙動不審だった。

蓮の姿がちらりとでも見えようものなら、全速力でその場から逃げ出す。そんなことを繰り返していた。

「なんかあったの?」

あまりにも不自然なキョーコの態度に、奏江からそう尋ねられる程だった。

「べ、別に。なんでもないわ!」

「ふーん……ならいいけど。それより、今ちょうど事務所に敦賀さんいるみたいだけど?」

「嘘!じゃあ早く帰らなきゃ!」

(どこがなんでもないのよ。やっぱりおかしいじゃない)

奏江はそう思いながらも言わなかった。今聞いても絶対答えないだろうから。

「モー子さん、ありがとう。じゃあ私、先に帰るから!」

慌ててドアを開けたキョーコの目に入ったのは、今日一日必死で逃げていた男。

「ひっ!ひえぇぇ!」

キョーコはまるでお化けにでも会ったように恐れ戦いた。

目が合ったとたん、そんな悲鳴を上げられた男、敦賀蓮は流石にびっくりして、一瞬身体が硬直する。

「最上さん?」

「つ、敦賀さん!わ、私急いでますのでお先に失礼します!」

脱兎の如く逃げていくキョーコを、蓮は捕まえることが出来なかった。

「お前、一体キョーコちゃんに何したんだ?」

「キョーコに何かしたんですか、敦賀さん?」

社と奏江、二人に呆れた眼差しで問われ、蓮はがっくりうなだれた。

「人聞き悪いこと言わないで下さい。別に俺は何もしてませんよ!」

(むしろこっちが聞きたいくらいだ!)

今日一日、キョーコに逃げられていた蓮は、内心傷付いていた。やっと捕まえられると思っていたのに、あの態度。

(俺が何したって言うんだ……)

へこんでいる彼にはわからない。わかるはずもない。

まさか、彼女が夢のせいで自分から逃げているなど……。

夢の中の蓮がキョーコにプロポーズした。

そんな理由からだなんて露にも思わなかった。

「早く仲直りできるといいな」

憐れみの目で社に見られ、蓮はため息を吐くしかない。

明日は捕まえられるだろうか。答えは誰も知らない――。





<後書き>
シンデレラ、書き直してみました。いかがでしたでしょうか?
大筋しか覚えていなかったので、大変でした。同時進行で白雪蓮を書いているため、頭が変になりそうでした
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