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◎「恋する炭酸 sideキョーコ」
2015年04月08日 (水) | 編集 |
「恋する炭酸 sideキョーコ」





なんとカンドードリンコのCMに再び起用されることになった。代理店の方に聞いたところ、黒崎監督からの指名らしい。

今回も等身大の高校生ということでキャスティングされたが、描くのは友情ではなく、よりにもよって恋愛だとか。

打ち合わせの話では、キュララに別のバージョンが出るらしく、前回の弾けるような清涼感に加え、今回は爽やかな飲み心地をそのままに、桃とレモン、女の子が好きなベリーをミックスさせた新感覚の炭酸飲料とのことだ。何種類かのベリーが絶妙に配合され、レモンがきりっと、ベリーと桃の甘さがふわりと香り、爽やかかつ甘酸っぱい味わいとなっている。

その味わいをイメージさせたのが高校生の淡い恋愛なんだそうな。

私の相手役に決まったのは、『坊』でいつもお世話になっているブリッジ・ロックの光さんだ。

“恋愛”と聞いて上手く演じる自信がない私はいつになく緊張していた。

「俺、もう普通に制服なんて着る機会なんてないと思ったよ~。似合わなくて降ろされるのも嫌だけど、似合ってもショックだなあ。慎一なんてそのまま高校通っててもきっと違和感ないよ、なんて言いやがってさ」

撮影の日、挨拶に伺うと光さんがそう言って笑わせてくれた。

「でも、相手役が光さんがよかったです。私ちょっと緊張してて……」

私が話すと、光さんはなぜか赤くなった。

「俺もキョーコちゃんでよかったよ。CMなんて初めてでどうしようかと思ってたんだ~」

「えっ!?CM初めてなんですか?」

「そうだよー。番宣とかはあるけど。でもそれも俺一人じゃなかったし。だいたい今更高校生役だなんて~」

「頑張って、“涼”。な~んて……ふふ」

「が、頑張るよ“桃”?」

「よう!もうすでに雰囲気作りか?えらく仲良さそうじゃねーか」

私と光さんが話しながら現場に行くと、黒崎監督が後ろから現れた。相変わらずワイルドにヒゲを生やしている。そしてやっぱり監督に見えない、ちょいワルどころか人身売買でもしているヤクザのような出で立ちだ。知らない人が見たら挨拶するどころか逃げていきそう。

そんな黒崎監督に若干驚きながらも、光さんがきちんと頭を下げた。

「おはようございます。黒崎監督」

「お、おはようございます!!監督。今日はよろしくお願いします!」

「おう!よろしくな!キョーコも前みたいに自然体で頼んだぜ!」」

ニッと笑う監督に私は笑顔で返した。けれど監督のその言葉でまた不安が襲ってきた。自然体……。自然体で恋を演じるなんて……。

私ちゃんと出来るの……?

“恋”なんて……。

私と光さんは簡単な打ち合わせの後、すぐに制服に着替えさせられ、今回の役、“桃”と“涼”になった。

光さんは気にしていたけれど、制服姿は似合っていた。

「学ランじゃなくブレザーなのがまだ救いだよなあ。これで学ランだったらコントだよ」

「そっちもきっと似合ってたわよ、涼」

「桃ひでぇ!」

都内の私立高校を借りての撮影は日曜の今日だけだ。つまり今日中に撮影し終えなければならない。いくつものシーンをカメラアングルを変えて何カットも撮影する。本当なら撮り直しなんてしていられない。でもやっぱりこだわり派の黒崎監督。時間がないのに納得できるまで同じシーンをやらされた。

はっきり言って、悩んでいる暇なんてない。それぐらい慌ただしい撮影だった。

特に大変だったのは二人で校舎内を疾走するシーンだ。

『競争しない?』

『競争?』

『負けた方はバツゲームだからね!』

『バツゲームぅ?』

『いくよ!よーい、ドン!』

放課後、教室から部室まで全力疾走するというシーン。教室、廊下、階段、色んな場所をアングルを変えて何パターンも撮影する。カットの声の度にエキストラの配置を変更したりして、小間切れで走らされているから距離としては長くない。けれどたとえ短い距離でも全力疾走はかなり体力を消耗する。

さすがに息が切れてきたと思った所でちょうど休憩を告げられた。そのとたん、隣の光さんがどっとその場に座りこむ。

「キョ、キョーコちゃん……た、体力あるなあ。俺…もう結構キツイや……」

ゼーゼーと肩で息をしている光さんにキュララを差し出した。

「いえ、私も辛いです。もう一回走れって言われてももう無理です」

笑って言うと、光さんも「もう一回は絶対無理。死ぬよ、マジで」と笑った。

なんだか光さんと話しているとほっとして穏やかな気分になれる。

こんな気持ちが淡い恋ならよかったのに。自然体で演じられるのに。

でもこれは恋じゃない。

これが恋ならよかったのに……。

そうしたら苦しまずに済んだのに。

やっぱり私って馬鹿な女ね……。

「大丈夫?もうちょっと休憩もらう?」

私が自分の思考に囚われていたら、光さんが心配そうに顔を覗きこんできた。

「い、いえ……大丈夫です」

「そう?でも顔色悪いよ?」

「ほんとに大丈夫ですから」

どうやら休憩終りの声が掛かっていたみたいだ。何の反応も示さない私に光さんが心配して声をかけてくれたらしい。優しく気遣ってくれてそれに楽しくて……なんかお兄ちゃんみたい。こんなお兄ちゃん、欲しいなあ……。

ダメダメ。

今日の私はこの人に恋する役。“お兄ちゃん”じゃダメなのに……。

「キョーコちゃん、汗かいてるからメイク直しいいですか?」

光さんがスタッフに言ってメイクさんを呼んでくれる。また暗い顔になった私に、光さんは上手くインターバルをおかせてくれた。

早く気持ちを切り替えないと。

そう……これは仕事。仕事なのよ!

あの人を目指しているのでしょう、キョーコ!

共演者を本気で惚れさせてしまうあの人みたいになりたいんなら、こんな所で立ち止まってなんていられないわ。

メイクを直してもらっている間に、恋しないと!

幼馴染みから友達以上恋人未満へ、そして恋人になったばかりの淡い、幼い、これからどんどん育って行く、そんな恋心。

「あの人への気持ちとは全然違うなあ」

「何か言った?」

「いいえ、何でもないです」

メイクさんにニコリと笑い返し、私は桃になって涼に恋する少女に気持ちを切り替えた。




『いっちばーん!はい、私の勝ち!』

部室まで走りきった桃は後ろを振り向き得意気にニッと笑った。

『ま、負けた~』

ゼーゼーと肩で息する涼はがっくり項垂れてそのまま倒れ込む。

『じゃ、罰ゲームだからね!』

『マジかよ~』

『目瞑って!』

『へ、変なことするなよ~』

『ほら、早く!』

素直に涼が目を瞑ると桃は座り込んだ涼の前に腰を下ろして顔を寄せる。顎に手をかけ、キスを迫るような雰囲気だ。

ドキドキ、ドキドキ。ドキドキ、ドキドキ。

これ以上ないほど唇が近付いたと思ったとたん、ふにっと押しあてられたものの感触にびっくりして涼は思わず目を開いてしまう。

『つっ!つっめてぇー!!』

叫び声をあげた涼に、桃はキャラキャラと笑い声をあげた。

『罰ゲームって言ったでしょ!』

ふふっと小悪魔のような微笑みを浮かべて桃は持っていたキュララを差し出した。

『半分こだからね』

『ケチくせーの!』

『私だって走ってのど渇いたんだもん!早く飲んで!』

桃に急かされ、涼は素直にキュララを飲んだ。

『美味しい?』

『ああ……』

『ふーん、じゃあ私も貰うね!』

ひょいと涼の手からキュララを奪うと、桃は飲み干し言った。

『間接キス……だね』

僅かに顔を紅く染め、ふわりと笑うと桃は空になったキュララのペットボトルの側面にキスをする。そしてそれを涼へと放り投げた。

『罰ゲーム!ゴミ箱に捨てておいて!』

桃はニコっと笑うと部室まで走っていった。

『間接キス……』

惚けていた涼は渡されたペットボトルを握り締め……キスをした。桃がキスをした同じ場所に。




「お疲れさん!いい絵が撮れたぜ!」

「黒崎監督、ありがとうございました!」

「お疲れ様でした!」

「涼の最後の表情は特によかったぞ!」

「は、はい!ありがとうございます!!」

撮影後、私と光さんが揃って挨拶に行くと監督が上機嫌に肩を叩いてきた。そして光さんの最後の表情を褒めた。

「いや……あれはキョーコちゃんに引き出して貰えただけで……」

「そんな…私こそです。なんか自然に振る舞えたっていうか……楽に演じられましたから。なんか光さんって頼りになるお兄ちゃんみたいです!」

私がそう言うと、なぜか光さんは固まってしまい、監督は盛大に吹き出した。

「ブーっ!!アハ……、アハハ……くくっ……いや、ハハハハ……」

「黒崎監督……?」

監督はひとしきり笑った後、光さんに耳打ちした。すると光さんはボンっと真っ赤になって監督から離れた。

「黒崎監督?光さん?どうしたんですか?」

「いや~走ってる時に、キョーコがパンチラしてたから、こいつも見たかと思ってな!」

ガハハと豪快に笑う監督はヒラヒラ手を振って帰っていった。

「パ、パンチラーっ!?ほんとですか、光さん!!」

私が近付くと光さんは慌てて私から離れてしまった。

「し、知らない知らない!わ、悪いけど…お、俺は帰るから!!」

そう叫んで光さんは逃げていった。

なんなのかしら?ほんとにもう!!

それにしても“淡い恋”上手く演じれたかしら……。

キスをしたいけど、恥ずかしい、でも好きだから。

そんな気持ちを表現したつもりだった。

“好き”かあ~。

あの人の顔が自然と思い浮かんで、私は頭を振った。

この気持ちは殺さなきゃ……。

あの人への気持ちは絶対に消さないと。

この気持ちは恋じゃない。恋じゃない。

私は恋なんてしない。

自分に暗示をかけ直し、私はセツになるためホテルへ向かった。





<後書き>
薔薇姫様のキリバンリクエストのボツバージョン。光はやっぱり「お友達」か「お兄ちゃん」止まりですよね(笑)。ちなみに私は『年の離れた優しい』お兄ちゃんなら欲しいです。間接キス…モー子さんが聞いたら憤死しそう。
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