花とゆめ連載「スキップ・ビート!」の感想&二次SS中心です。当サイトはリンクフリーです。
  • 07«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »09
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

☆◎「恋する炭酸 side光」
2015年04月08日 (水) | 編集 |
「恋する炭酸 side光」





神様、仏様、カンドードリンコ様!!

ありがとうございます。感謝します!!

なんとなんと、カンドードリンコのCMに起用されることになった。しかもブリッジ・ロックとしてでなく、俺がピンで!

しかも!しかもだ!!

キョーコちゃんとの共演だとか。

これは夢か?それともドッキリなのか?

正直代理店の方々と打ち合わせしていても、俺はまだ半信半疑だった。テレビのドッキリなら撮影するまではほんとに仕掛けてきそうだから。

でもほんとにほんとにほんとだった。

撮影日、キョーコちゃんに挨拶されてようやく信じることができた。よしんばCM自体が嘘でもキョーコちゃんと一緒に撮影して貰えるだけでも嬉しいし。

しかも今回は、前回キョーコちゃんが出演していたキュララの別バージョンで高校生の淡い恋愛を描くんだとか。

恋だよ!恋!

キョーコちゃんと共演できるだけじゃなく、なんと恋人を演じられるなんて。なんて夢のような話なんだ!!

打ち合わせで聞いたら、今回のキュララは前回の弾けるような清涼感に加え、爽やかな飲み心地をそのままに、桃とレモン、女の子が好きなベリーをミックスさせた新感覚の炭酸飲料とのことだ。何種類かのベリーが絶妙に配合され、レモンがきりっと、ベリーと桃の甘さがふわりと香り、爽やかかつ甘酸っぱい味わいとなっているそうだ。

その味わいをイメージさせたのが高校生の淡い恋愛なんだそうな。

キョーコちゃん演じる“桃”と俺が演じる“涼”が幼馴染みから恋人になった。そんな初々しい高校生のカップルを演じないといけないらしい。

それにしても高校生かあ~。なんでよりにもよってCMデビューが高校生役なんだか。そりゃコントでなら制服は着てるけどさ。ま、でもキョーコちゃんとお揃いだからいいか。

「俺、もう普通に制服なんて着る機会なんてないと思ったよ~。似合わなくて降ろされるのも嫌だけど、似合ってもショックだなあ。慎一なんてそのまま高校通っててもきっと違和感ないよ、なんて言いやがってさ」

思わず俺が愚痴ると、キョーコちゃんはクスクスと可愛く笑ってくれた。そして、

「でも、相手役が光さんがよかったです。私ちょっと緊張してて……」

なんて恥ずかしそうに言うからこっちが恥ずかしくなってきて顔が火照ってきた。

「俺もキョーコちゃんでよかったよ。CMなんて初めてでどうしようかと思ってたんだ~」

「えっ!?CM初めてなんですか?」

「そうだよー。番宣とかはあるけど。でもそれも俺一人じゃなかったし。だいたい今更高校生役だなんて~」

「頑張って、“涼”。な~んて……ふふ」

キョーコちゃんが突然雰囲気を変えてコケティッシュに言う。どうやら今日の役、“桃”になっているみたいだ。

もう役が出来てる!ま、負けてらんない。

「が、頑張るよ“桃”?」

「よう!もうすでに雰囲気作りか?えらく仲良さそうじゃねーか」

なんとか俺が今日の役“涼”になって返した所で、黒崎監督が後ろから現れた。今日も顎ヒゲをワイルドに生やし、濃い色のサングラスをかけている。この間初めて会った時から思っていたがやっぱり監督には見えない。下手すればヤーさんに間違えられそうだ。

「おはようございます。黒崎監督」

「お、おはようございます!!監督。今日はよろしくお願いします!」

「おう!よろしくな!キョーコも前みたいに自然体で頼んだぜ!」」

ニッと笑って監督はそのまま俺達を抜いていった。

「やっぱり撮影の時もあんなんなんだあ」

しみじみ呟くと、制服を持ってきてくれたスタッフさんが「そうなんです。いつも職質されそうになってるんですよ」と笑いながら教えてくれた。

簡単な打ち合わせの後、すぐに制服に着替えさせられて今日の最初の撮影場所である教室へ向かった。

用意された制服は濃紺のブレザーで、まあ胸ポケットの校章さえなければスーツに見えないこともないシンプルなデザインだった。

似合ってるか?違和感……ないよな?

「学ランじゃなくブレザーなのがまだ救いだよなあ。これで学ランだったらコントだよ」

「そっちもきっと似合ってたわよ、涼」

「桃ひでぇ!」

またキョーコちゃんが役になっていたので役で返した。普段のキョーコちゃんと違って、桃にはなんか小悪魔的な魅力がある。

いや、普段のキョーコちゃんに魅力がないって訳じゃなくて、むしろ俺には魅力的…って、いや、何言ってるんだ、俺!

とにかく普段のキョーコちゃんも可愛いけど、今日も可愛くて引き摺れそうになる。ほんとの彼女だって勘違いしそうで。

演技なのに演技じゃなくなってしまう。

私立高校を借りての撮影だから日曜日の今日中に仕上げないといけない。なのにいくつものシーンをカメラアングルを変えて何カットも撮影する。本当なら撮り直しなんてしていられない。でもやっぱりこだわり派の黒崎監督。時間がないのに納得できるまで同じシーンをやらされた。

特に大変だったのは二人で校舎内を疾走するシーンだ。

『競争しない?』

『競争?』

『負けた方はバツゲームだからね!』

『バツゲームぅ?』

『いくよ!よーい、ドン!』

放課後、教室から部室まで全力疾走するというシーン。教室、廊下、階段、色んな場所をアングルを変えて何パターンも撮影する。カットの声の度にエキストラの配置を変更したりして、小間切れで走らされているから距離としては長くない。けれどたとえ短い距離でも全力疾走はかなり体力を消耗する。

もう限界だと思った所でちょうど休憩を告げられた。

お、終わった~。

あまりの疲労に俺は思わずその場に座り込んでしまった。なのにキョーコちゃんは全然疲れた様子がない。そういや『坊』でも結構ハードに動いてるもんなあ。あの着ぐるみで動くの大変なのに。

「キョ、キョーコちゃん……た、体力あるなあ。俺…もう結構キツイや……」

ゼーゼーと肩で息をしていると、キョーコちゃんがキュララを差し出してくれた。まるで女神のように。

「いえ、私も辛いです。もう一回走れって言われてももう無理です」

「もう一回は絶対無理。死ぬよ、マジで」

ハハっと軽く笑えば、キョーコちゃんもクスリと笑ってくれた。

こうして二人でいるとなんだかほんとに恋人同士みたいだ。いつまでもこうしていたいなあ。

撮影が長引けばそれだけ長く一緒にいられるよな……。

不埒な考えが頭を過る。ちらりと隣のキョーコちゃんを見ると、キョーコちゃんも疲れているのかぼんやりとしていた。

いつもと違う白いセーラー服ののキョーコちゃん。素のキョーコちゃんに近いけれど、一度撮影に入ればその表情をガラリと変える。彼氏の気を引きたくてちょっとしたいたずらをしたり、可愛く我が儘を言ったり。普段の礼儀正しいキョーコちゃんとは違う、今時の女子高校生なキョーコちゃん。

役じゃなくて素のキョーコちゃんで見てみたいなあ…なんて思ってしまう自分に笑ってしまう。

告白すらしてないのに。たかが番組で一緒になっているだけなのに。

欲って怖い。

一緒にいれるだけでよかったはずなのにどんどんそれ以上求めてしまう。

「休憩終わりでーす。撮影再開しまーす」

スタッフさんの声が聞こえ、よっと腰を上げた。キョーコちゃんに手を差し出したが、反応がない。

聞こえなかったのかな?

「キョーコちゃん?」

声をかけたのになんだかぼんやりしている。やっぱり疲れたのかな?

「大丈夫?もうちょっと休憩もらう?」

顔を覗きこむと少し顔色がよくない。

「い、いえ……大丈夫です」

「そう?でも顔色悪いよ?」

「ほんとに大丈夫ですから」

キョーコちゃんはそう言うけど顔色は悪いままだ。やっぱり心配だし……そうだ!!

「キョーコちゃん、汗かいてるからメイク直しいいですか?」

近くにいたスタッフさんにそう頼むと、すぐにメイクさんを呼んでくれた。

これでちょっとはよくなるかな?




メイクを直したキョーコちゃんはすっかり元通りなって、俺を惑わす桃へとなっていた。

さっき休憩前に撮り終えたシーンの続きからの再開で、走り終えた所からだ。

『いっちばーん!はい、私の勝ち!』

部室まで走りきったキョーコちゃんは少し後ろを走っていた俺を振り返り、得意気にニッと笑った。

『ま、負けた~』

ゼーゼーと肩で息する演技をした俺はがっくり項垂れてそのまま倒れ込んだ。さっきは素だったが疲れの取れた今は演技だ。

『じゃ、罰ゲームだからね!』

嬉しそうにキョーコちゃんが言う。

『マジかよ~』

『目瞑って!』

『へ、変なことするなよ~』

『ほら、早く!』

俺が素直にが目を瞑るとキョーコが座り込んだ俺の前に腰を下ろすのがわかった。顔を寄せ、顎に手をかけられる。キスを迫るような雰囲気にわかっていてもドキドキする。息がかかり唇が近付いてくる感じに、演技じゃなく心臓が張り裂けそうになっていた。顔が自然と紅くなり、地面に付いている手は汗ばんでいる。

ドキドキ、ドキドキ。ドキドキ、ドキドキ。

これ以上ないほど唇が近付いたと思ったとたん、ふにっと押しあてられたものの感触にびっくりして思わず目を開いてしまった。

『つっ!つっめてぇー!!』

叫び声をあげた俺に、キョーコちゃんがキャラキャラと笑い声をあげる。

『罰ゲームって言ったでしょ!』

ふふっと小悪魔のような微笑みを浮かべたキョーコちゃんは持っていたキュララ俺に差し出した。

『半分こだからね』

『ケチくせーの!』

『私だって走ってのど渇いたんだもん!早く飲んで!』

むうと軽く怒ってねだるキョーコちゃんが凄く可愛い。もう少しこの顔を見ていたいなあ……いやいや、とりあえずここは台本通りにしないと。素直にキュララを飲むと、

『美味しい?』

キョーコちゃんが上目遣いで聞いてくる。

ああ……なんて可愛いんだ。

『ああ……』

『ふーん、じゃあ私も貰うね!』

ひょいと俺の手からキュララを奪うと、キョーコちゃんは飲み干し言った。

『間接キス……だね』

僅かに顔を紅く染め、ふわりと笑ったキョーコちゃんくらくらしそうになる。

なんか…なんか……すげー可愛い!!

キョーコちゃんは空になったキュララのペットボトルの側面にキスをすると、俺に向かってそれを放り投げた。

『罰ゲーム!ゴミ箱に捨てておいて!』

そして天使みたいにニコっと笑うと部室まで走っていった。

『間接キス……』

素で惚けていた俺は渡されたペットボトルを握り締め……キスをした。キョーコちゃんがキスをした同じ場所に。




「お疲れさん!いい絵が撮れたぜ!」

「黒崎監督、ありがとうございました!」

「お疲れ様でした!」

「涼の最後の表情は特によかったぞ!」

「は、はい!ありがとうございます!!

撮影後、俺とキョーコちゃんが揃って挨拶に行くと監督が上機嫌に肩を叩いてきた。そして俺の最後の表情を褒めてくれる。でもあれは……。

「いや……あれはキョーコちゃんに引き出して貰えただけで……」

そう、キョーコちゃんの表情に思わずそうなっただけだ。キョーコちゃんの演技につられただけで……いや、違う。あれは演技じゃなかった。

俺は本気だった。なのに……。

「そんな…私こそです。なんか自然に振る舞えたっていうか……楽に演じられましたから。なんか光さんって頼りになるお兄ちゃんみたいです!」

キョーコちゃんのその発言に、目の前が真っ暗になった。茫然自失した俺の隣では黒崎監督が盛大に吹き出しいる。

「ブーっ!!アハ……、アハハ……くくっ……いや、ハハハハ……」

「黒崎監督……?」

監督はひとしきり笑った後、なぜか俺に近付いてきた。そして、

「こりゃあ落とすの、大変だぜ“お兄ちゃん”?」

なんて耳打ちされるとは。

バ、バレてる~。

顔から火が出そうになって、俺は監督から思いっきり離れた。

笑われてる時はまさかと思ったけど……なんで?俺が演技出来てなかったから?

駄目だ。顔上げられない!!

「黒崎監督?光さん?どうしたんですか?」

「いや~走ってる時に、キョーコがパンチラしてたから、こいつも見たかと思ってな!」

俺の気も知らないでガハハと豪快に笑う監督はヒラヒラ手を振って帰っていった。

「パ、パンチラーっ!?ほんとですか、光さん!!」

キョーコちゃんが絶叫して詰め寄ってきた。

た、頼むから今近寄らないで~!

「し、知らない知らない!わ、悪いけど…お、俺は帰るから!!」

そう言い捨てて俺はその場から逃げた。

逃げるしかなかった。

だって……さ。“お兄ちゃん”はないだろう!?




その日の夜、俺はバーで酒を煽りながら自己嫌悪に陥っていた。

いくらショックだったからって……しっかりしろよ、俺!逃げるようにして帰ったからキョーコちゃん、変に思ってないかな?

監督にもバレてるし……演技出来てなかった証拠ってことだよな。

「はあ~もう!!」

CMデビューだったのに落ち込んでいる俺に、慎一も雄生も何も言わなかった。いつもは煩いくらい構うくせに。

でも今はそれが有り難い。

今日は。今日だけはそっとしておいて欲しい。そういうオーラを出していたんだろう。

「お兄ちゃんなんてくそ食らえだーっ!!」

意味不明な絶叫した俺を二人が不審そうな目で見ていた。

忘れよう。今日のことは。

そう決心してぐいと酒を飲み干した。爽やかで甘いキュララとは違う、キツイ苦い酒を。





<後書き>
薔薇姫様のキリ番リクエスト採用バージョン。
キョーコ視点で書いたら、「これ、光視点で書いて 」なんて言われて頑張って書きました。書いといて何ですが、ブリッジ・ロックはCMデビューしてそう。

スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。